玲央と亮輔 19
外に出ると冷たい空気が気だるさをはらってくれる。
陽射しは黄色でも、風は今日も冷たい。
乱れた髪を手ぐしで整えた。一昨日までの俺に戻ってる。
もうジェルを付けたり、カレンダーに印を付けることはないのかも。
身軽で自由なのと寂しさは隣り合わせだ。
人生に期待しなきゃ裏切られない。
だから今日の占いでは八位なのかもしれない。
歩くのとチャリとでは景色が違う。地味な変化に目が止まる。
建設現場の足場だけの透けた骨組みが逆光で何かの骨みたい。
何が建つんだろう。
またマンションなのかな。
違う道を行ってみようか。面白い変化が落ちてるかも。
人生が変わることはないだろうけど。
ふだんはもっと先で曲がるところを、手前で右の道に入ろうかと考えて、青と赤の色彩が甦った。
このまま行けば、昨日のあの人とまた会うかもしれない。
何で気になるんだろう。よりによってあんな極端なカラーな人のこと。
足先が曲がりかけて、けっきょくいつもどおりの道を選んだ。
例のマンションが木々の網目の間に見えてきた。
何人か住人が入口から出てきたけど、あの派手な姿は見当たらない。
上階を見あげて通り過ぎる。マンションのどの階に住んでるんだろう。
後ろ髪引かれる。少しだけ残念な気持ち。
「きっと髪の色が派手だから、印象に残ってるんだ」
平凡で地味な日常から悪い意味で抜け出してしまった昨日の夜。だからきっと、強烈な青と赤で塗りつぶしてしまいたくなるんだ。
考えてるうちに保育園に着いた。鉄門を横に開く。
「ひーめせんせーい」
振り向かなくても分かる。朝にぴったりの底抜けに明るい声は、花城先生で間違いない。
「おはようございます」
いつもそうなんだけど。彼女が悪いわけじゃない。でも昨日も今日も、今は会いたくないって時に現れる。




