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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
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玲央と亮輔 18

 スマホで設定した目覚ましの音に起こされた。六時。

 しんどい。寝ても覚めても昨日のことが悪夢に変わるわけじゃない。

 むしろ、疲れてたのか。悪夢さえ見なかった。

 悪夢のような出来事と例えて言うけど、ホントに悪夢だったらラッキーなくらいだ。

 避けて通れないスマホの画面。スマホから始まりスマホで終わる。現代人の悲しい病。

 LINEアプリの未読数字こそ悪夢だっていうのに。

 画面上部から指で通知パネルを引き出す。

 通知は漆原先生からの一件だけ。玲央からは一件もきてなかった。

 ホッとした。

 昨日とは真逆の心境。

 漆原という名前が日常のありがたみを訴える。


「今日は新しい園児が登園してくるんだった。行かないと」

 

 布団から這い出した。

 カーテンを開けると、結露なのか雨のせいなのか窓ガラスがビショビショだった。

 毎朝思う。目覚めたばっかは憂鬱でダルいのに、起き上がるといけそうな気がする。

 普通なら休みたいとこ。でも、家にいたら奈落まで落ちてしまいそう。


 新しい園児の受け入れというイベントで忘れられる。

 仕事中は少なくともいつものように子供たちに振り回されて。

 漆原先生に見張られて。

 玲央の存在に気持ちが引っ張られずに済む。

 やり直す展開になっても、トラブルに発展しても。

 このままフェードアウトだとしても。

 ずっと一日忘れているには玲央の存在は大きすぎた。


「そうだ。今日は仕事上がったら駅までチャリを取りに行かないとなあ」


 駐輪代超過分を徴収されてしまう。

 わざと日常を意識しながら、ごはんと味噌汁と、卵焼きと海苔で簡単な朝食を済ませた。


 朝の情報番組は、国際と国内で固めの内容だった。天気予報は一日中晴れ。

 乙女座は八位という微妙な順位。

 

「十二位じゃないのか。占いは当たんないよな」


 スニーカーの紐をしめた。

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