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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
37/199

玲央と亮輔 13

「青葉……早くこいよ」


 ジャクジー独り占めの王様スタイル。縁に両腕を広げて、大きく開いた両脚も円形の浴槽の縁に豪快に乗せて誘ってくる。

 

 俺に用意されてるスペースは怜央の脚の間しかない。マンションのよりは大きくても、男二人で入ったら、いやでも体が密着する。

 脳内でその先をシミュレーションしてみた。妄想がヤバ過ぎる。

 酒よりも濃厚なフェロモンのせいでめまいがしてきた。


「ごめん。あきれるかもしれないけど……後ろ向いてて欲しい」


 恥ずかしいけど、お願いする。

 こんなに見つめられて、こんなイケメンの前で全裸になるなんて。

 かなりハードルが高い。


「ぷはっっ! ほんっとに青葉は可愛いな! もう、たまんねえ。わかったよ。じゃあ、照明も落としていいよ。目をつぶって待ってる」


 笑いながら玲央は瞼を閉じた。

 壁のホルダーに差し込まれたリモコンでベッド側の照明を落とす。

 こっちが暗くなった分、浴槽に仕込まれた虹色のネオンが淫らに映える。

 玲央は浴槽の縁に頭を乗せて、眠るように寛いでいた。


 まず、薄暗がりでユニクロのセーターに手をかけて、頭を抜く。


「目つぶってるとかえって想像しちゃうな」


 浴室のガラスに反響する玲央の声。


「玲央みたいにスタイル良くないから。想像とはたぶん違ってる」


 クローゼットを開けて、ハンガーにセーターをかける。キィと音が鳴った。

 ジャクジーの水音が後ろでバシャっと続く。

 

「俺さ……青葉の写真見て……って、歩いてるとき言いかけただろ?」

「うん?」


 デニムのボタンを外しながら玲央の方を向いた。

 ジャクジーに集中した明かりが紫、青、緑、黄色と変化する。気持ち良さそうにのけ反ってる玲央の顔を見て、少し緊張がほどけてきた。


「俺の写真、全然映り良くなかっただろ? あんなダサいのしかなくって」

「あんなのって……たまらなかったよ。ホントに……」

 

 玲央がぬるっと舌で自分の唇の周りを舐めた。エロい。


「スタイリストやってるなら、商品レベルの美形だって見慣れてそうなのに」


 また自信が萎む。


「だから言ったじゃん。いくら見た目綺麗でも、ビッチは嫌だって」


 苛立ちが混じってる。誰かに裏切られたことでもあるのかな。聞けないけど。



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