玲央と亮輔 13
「青葉……早くこいよ」
ジャクジー独り占めの王様スタイル。縁に両腕を広げて、大きく開いた両脚も円形の浴槽の縁に豪快に乗せて誘ってくる。
俺に用意されてるスペースは怜央の脚の間しかない。マンションのよりは大きくても、男二人で入ったら、いやでも体が密着する。
脳内でその先をシミュレーションしてみた。妄想がヤバ過ぎる。
酒よりも濃厚なフェロモンのせいでめまいがしてきた。
「ごめん。あきれるかもしれないけど……後ろ向いてて欲しい」
恥ずかしいけど、お願いする。
こんなに見つめられて、こんなイケメンの前で全裸になるなんて。
かなりハードルが高い。
「ぷはっっ! ほんっとに青葉は可愛いな! もう、たまんねえ。わかったよ。じゃあ、照明も落としていいよ。目をつぶって待ってる」
笑いながら玲央は瞼を閉じた。
壁のホルダーに差し込まれたリモコンでベッド側の照明を落とす。
こっちが暗くなった分、浴槽に仕込まれた虹色のネオンが淫らに映える。
玲央は浴槽の縁に頭を乗せて、眠るように寛いでいた。
まず、薄暗がりでユニクロのセーターに手をかけて、頭を抜く。
「目つぶってるとかえって想像しちゃうな」
浴室のガラスに反響する玲央の声。
「玲央みたいにスタイル良くないから。想像とはたぶん違ってる」
クローゼットを開けて、ハンガーにセーターをかける。キィと音が鳴った。
ジャクジーの水音が後ろでバシャっと続く。
「俺さ……青葉の写真見て……って、歩いてるとき言いかけただろ?」
「うん?」
デニムのボタンを外しながら玲央の方を向いた。
ジャクジーに集中した明かりが紫、青、緑、黄色と変化する。気持ち良さそうにのけ反ってる玲央の顔を見て、少し緊張がほどけてきた。
「俺の写真、全然映り良くなかっただろ? あんなダサいのしかなくって」
「あんなのって……たまらなかったよ。ホントに……」
玲央がぬるっと舌で自分の唇の周りを舐めた。エロい。
「スタイリストやってるなら、商品レベルの美形だって見慣れてそうなのに」
また自信が萎む。
「だから言ったじゃん。いくら見た目綺麗でも、ビッチは嫌だって」
苛立ちが混じってる。誰かに裏切られたことでもあるのかな。聞けないけど。




