玲央と亮輔 7
「俺のこと好き?」
柔らかく細めた目の奥の光が強い。笑顔なのに圧がある。
まださっきのショックがおさまってなかった。
玲央は優しい面の下に火のような激しさを隠してる。接して短時間でそう感じた。
「好きだよ」
そう答えた自分の声は微かに震えてた。
違うとは言えない。
それにデジャヴ。同じ心情、同じシチュエーション。どっかであった。似たようなこと。
「良かった」
そう言って笑いながら太ももをギュッと掴まれて撫でられた。
緊張して全然お腹が空いてない。
会いたくてたまらなかった人とほとんど二人きりで過ごしてる。
ずっとこの時を待ち望んでたのに。何かが違う。
「また新しい子?」
タコのカルパッチョをテーブルに置きながら、女性の見た目で声は男性の店員がボソっと呟きを落としていった。
パッと顎を上げたらサッと視線をそらす。
玲央が店員の後ろ姿を睨んでる。
考えてなかった。俺にとって玲央は初めての人。玲央にとって俺は何番目かの相手。
そんなの最初からわかってる。
ただ、オンリーじゃなくても構わないのか。
大勢のうちの一人でもいいのか、までは考えてこなかった。
「気にしないで。チャラく見えるかもしれないけど俺は一途だよ。夢中になるとソイツしか見えないんだ。ただし青葉の前にも相手はいた」
これは優しいウソなんだろうか。玲央みたいなイケメンなら男女ともに相手に困ることはないだろう。
俺以外に数人いても驚かない。
ただ、それを知って先に進めるかというとーー
心が揺れる。
男女でもゲイでも、相手を決めて付き合うタイプと決めたくないタイプとがいる。
同意の上なら問題ないけど。
じゃあ、自分は?
三分の二くらいまで減った俺の名前のカクテルを勢いよく飲み干す。
好きだよって答えたから、玲央の全てを受け入れたことになっちゃうのかな。




