玲央と亮輔 4
「う……あ……」
こんなに激しいなんて。二十cmくらい身長差あるから上から蓋するように被さってる。
むさぼる唇と侵される唇。
隙間がないと窒息してしまう。
嫌なんじゃない。でも本能で玲央の胸を手で押し返そうとする。長身だから細身に見えて、柔らかい雰囲気なのに凄く固い。
ぴったり接してみて筋肉の厚みと骨格の太さを知った。
同時に力の差も。
ボアジャケットの下に怜央が左手を入れて、俺の腰を掴んで自分の方に寄せた。デニムごしに触れる玲央の脚の間の隆起。
固くなって擦るように攻めてくる。耳朶を噛まれて首筋を吸われて、ようやく声を出した。
「ヤダ……イヤだ」
耳に届いたのか。息は荒いまま玲央の動きが緩んだ。
右の長い指の背が俺の頬を風のように撫でる。
泣いてたのかもしれない。玲央の長い腕で抱き締められていると、長身の影に隠れて周りからは俺の姿が見えないんじゃないだろうか。
まるで大人と子供。
悪くないのに情けない。
「ああ、あは。ごめん。俺っていきなりスイッチ入っちゃうんだよ。色んな場面で……青葉、メチャクチャ好みだから。抑えらんなくて」
髪にキスして撫でて軽くなだめる。
激しい玲央から一変。同じ人物とは思えないくらい、サクっとビスケットみたいに軽く甘い声にホロリと崩れそうになる。
胸板に左耳を押し当てる体勢でいると、息遣いと鼓動のリズムが同時に響いて、色んな境が曖昧になってくる。皮膚の下の血管が温かい。
血流の音まで聞こえてきそう。
「びっくりしたんだ。いきなりだったから……慣れてなくて」
車のヘッドライトが唐突に迫ってきた。
数十メートル先に見える靖国通りは明るすぎる。玲央の体の位置が変わって光と自分の居場所をとつぜん思い出した。
「ああ、青葉。ホントに可愛いよ。写真も可愛かった。あれ見て俺……」
玲央にもライトが当たって、ネコ科の動物みたいに瞳の色が薄まった。
キレイなのに怖い。どうしてだろう。玲央でもダメなんだろうか。




