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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
27/199

玲央と亮輔 3

「それ、なんかの衣装?」


 玲央が琥珀色の瞳で紙袋を指して言う。


「そ……そう。ホントは置いてくるはずだったけど。早く行かなきゃって焦って持ってきちゃった。ごめん……」


「謝りすぎだって。いいよ。時間がもったいない……今夜はいろいろ知りたいんだ。青葉のこと」


 玲央の握力がいきなり強まる。少し痛い。

 

「ここ曲がるよ」


 伊勢丹手前のところで左に折れた。

 街路樹にマフラーみたいに巻かれたネオンの輝きが、一度も入ったことないデパートのショーウィンドウに反射して、伸びた光が足元を黄色く照らしてる。

 Follow The Yellow Brick Road 

 思い出したオズの魔法使いの歌詞。


 玲央と寄り添って歩いてるから、煌びやかなショーウィンドウに映る俺の姿は、そこそこ周囲に馴染んで見える。

 家賃の安さで選んだマンションの窓も、電車のも。映る俺の顔は変わらないのに。

 今夜からは俺も、天使が作る光の輪の中に入れるんだろうか。


「二丁目にはいかないの?」と、たずねてしまった。


 タイミング良く信号が変わって、靖国通りを横断する。


「同性同士だから? 二丁目だって男女で歩いて普通に飲んでる。ゲイバーは多いけど。行きたかった?」


「ううん。俺、良く知らなくて……あっ……」


 新宿ゴールデン街、くねくね細い石畳の人気が少なくなった道で、いきなりキスされた。

 テキーラを流し込んだみたいに、鎖骨から上が熱くなる。顔に血が集まりすぎて、燃えてしまいそう。

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