玲央と亮輔 3
「それ、なんかの衣装?」
玲央が琥珀色の瞳で紙袋を指して言う。
「そ……そう。ホントは置いてくるはずだったけど。早く行かなきゃって焦って持ってきちゃった。ごめん……」
「謝りすぎだって。いいよ。時間がもったいない……今夜はいろいろ知りたいんだ。青葉のこと」
玲央の握力がいきなり強まる。少し痛い。
「ここ曲がるよ」
伊勢丹手前のところで左に折れた。
街路樹にマフラーみたいに巻かれたネオンの輝きが、一度も入ったことないデパートのショーウィンドウに反射して、伸びた光が足元を黄色く照らしてる。
Follow The Yellow Brick Road
思い出したオズの魔法使いの歌詞。
玲央と寄り添って歩いてるから、煌びやかなショーウィンドウに映る俺の姿は、そこそこ周囲に馴染んで見える。
家賃の安さで選んだマンションの窓も、電車のも。映る俺の顔は変わらないのに。
今夜からは俺も、天使が作る光の輪の中に入れるんだろうか。
「二丁目にはいかないの?」と、たずねてしまった。
タイミング良く信号が変わって、靖国通りを横断する。
「同性同士だから? 二丁目だって男女で歩いて普通に飲んでる。ゲイバーは多いけど。行きたかった?」
「ううん。俺、良く知らなくて……あっ……」
新宿ゴールデン街、くねくね細い石畳の人気が少なくなった道で、いきなりキスされた。
テキーラを流し込んだみたいに、鎖骨から上が熱くなる。顔に血が集まりすぎて、燃えてしまいそう。




