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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
24/199

出会い 18

 結局、十九時半近くになってようやくアキトくんのママが到着した。

 それまでの間、焦燥の波が何度も起こるたび、あきらめを積み重ねて抑え込んでこらえた。


 やっと解放されたけど約束の時間を過ぎてしまってる。

 スマホは保育園を出てから確認しよう。

 初顔合わせから遅刻なんて。しかも遅れると連絡もせずに。がっくり肩が落ちた。もともとなで肩だけど。


「今日はお疲れ様でした。明日は新しい園児が入ってきますから。また大変ですけどよろしくお願いしますね」


 給料なしの残業なのに爽快でやり遂げた感のある声は何でなんだ。

 俺とは真逆な漆原先生のピンと伸びた背筋を駐輪場で見送る。

 姿が消えて、がくっとヘタりそうになった。

 スマホを取り出す。長方形の明かりが暗闇に染みだした。あったかい画面をタップしたとたんに感情が巡ってLINEの未読数字に涙が落ちた。

 怖いけど開かないと。

 メッセージが一件だけ届いてた。


【電車遅れてる?】


 瞳がうるんで文字がぼやける。


 あわててメッセージを送る。


【本当にごめん。クラスの子が熱出しちゃって。今からだと、そっちに着くの一時間後になっちゃうかも。もう、無理だよね? 時間過ぎてから連絡するような奴なんて】


 入力しながら辛くなってきた。せめて、遅れると分かった時点で連絡できていれば。


【なんで? 待ってるから早くこいよ】


 ぐちゃぐちゃしてる間に既読がついて、玲央のメッセージが表示された。体の中心がきゅんと縮む。


【ごめん。急いでいく】


 一言送り、必死にチャリをこいだ。ドロシーの衣装を乗せて。暗い夜の風を切る。家路につく人々の流れに逆走する。駅を目指して。

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