出会い 12
「姫せんせーい。早くー」
子供たちが五人くらいわっとやってきた。手を引かれて走りだす。フラフープの電車ごっこに加わり、砂遊びに鬼ごっこ。
朝からお昼までは特にハードなんだけど、屈託ない子供たちの笑顔に囲まれて体を動かしてると、ストレス数値はリセットされる。
昼食までが戦いで、午後になると少しずつ緩やかに忙しさが下降していく。
昼食の時間でも気は抜けないけど、食事が終わればお昼寝タイムだ。ぐずぐずしてた寝つきの悪い子も眠ってくれて、ようやく一息つける。
「玲央……」
トイレに行ったついでにロッカー室に寄ってスマホをチェック。
LINEに未読数字あり。疲れてしぼんだ心の花が、ときめきという養分をそそがれて復活する。急いでLINEを開く。と、玲央からのメッセージは届いていなかった。
「姫先生、子供たちが寝てる間は休憩時間じゃないんですよ」
「はわ!ああ」
ガーンとショックで殴られて、しんみり沈んだ気持ちが漆原先生の声で病的に跳ね上がった。
両手の中でスマホも踊る。だからといって元気になったわけじゃない。例えるなら高熱で風邪薬効きすぎて錯乱した病人の心電図か、活きのいいゾンビのような。
「スマホは勤務中は見ない」
「でも、俺は休憩取ってないですよ。スマホ見てたっていっても何十分もさぼってたわけじゃないのに」
漆原先生こそ、俺を見張ることじゃなくて子供たちを保育するのが仕事ですよね。と、舌の裏側までのぼってきた不満を舌でフタして閉じ込める。
ストレス数値の上昇を再び肌で感じた。
「ともかくお昼寝っていっても、すぐに起きてしまいますからそのうちにできることをやっておかないと」
「わかりました。すみません」




