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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
14/199

出会い 8

 黒髪を後ろで一つに束ねてる。足元はいつ見てもニューバランスのスニーカー。微妙なえんじ色。もう一足は紺色の同じ形。

 いつもってとこをナナメに見ちゃうんだよなあ。花城先生や他の若い先生と比較して。


 保育士だから化粧は薄め。アクセサリーも身に着けない。爪は短く切る。動きやすい服装に靴というのは基本なんだけど。

 帰るときには一つ縛りのゴムを取って髪をとかしたり、靴だけ可愛いパンプスに履き替えたりする先生たちもいるのに。

 ロッカーは男女兼用だから服は着替えないけど、リップを塗りなおしてるの見ると、今日はデートなのかな?ってうらやましく思ったりする。

 

 漆原先生の年齢が三十一歳というのは他の先生たちの会話から拾ってきた。本人に直接聞くなんて怖くてできない。セクハラ一発アウトで退場になりそう。

 細かいとこイヤな目で見てる自覚はある。

 だけど、理不尽な嫌味を常に言われたら考えるだろ?

 この人はなんでこうなんだろう。彼氏の有無、既婚未婚で差別しちゃいけなのは分かってるけど、満たされてたらここまで嫌味は言わないだろうなって。


「おはようございますって……姫川先生、昨日のライン既読にならなかったけど?」


 漆原先生の顎が上がって見下ろす女王スタイル。いつものパターンだ。ああ、きたきた。


 透明の耳栓をねじこみたい。


「ええとええと」


 昨日から考えてた言い訳がすぐに出てこない。汗ばんで、手作りのエプロンで思わず顔を拭きそうになってしまう。

 

「じゃあ、アタシ行きますね」


 花城先生は申し訳なさそうに眉を下げて、逃げるように行ってしまった。

 花城先生も漆原先生は苦手とこぽしてて、たまに心当たりないのににらまれたりするらしい。常ににらまれてる俺からすれば笑顔の方が逆に怖いかも。

 

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