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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
111/199

LEO 7

 はりぼて帽子は役ごとに団子みたいに重ねてある。

 つまり、もう乾いてて色も塗って完成してる。

 魔女の衣装は壁掛けラックにハンガーで吊ってあるし。

 足りないのはドロシーの衣装だけ。


 風呂を済ませて食卓兼リビングテーブルの上に置いたパソコンの電源を入れた。

 指先に付いた微かな埃をウェットティッシュで軽く拭う。

 放置してたった数日だというのに。

 久しぶりにパソコンに触れる気がする。


 中古でスペックが貧しいパソコンの立ち上がりよりも、気分はずっと重かった。 

 平たくてグレーで四角い形状自体がトラウマになってる。


 画面が青くなって、怜央とやってたチャットルーム『ドロシーの部屋』を恐る恐るクリックする。

 このルームは俺と玲央二人だけでチャットするために作ったものだから鍵かけてなくても入室者がいるわけない。

 ただ、サイトのマイページに玲央から何通もメッセージが送られてきていた。


 メッセージを開封しようとして止めた。

 勇気が無いのは確かだけど、勇気が無いのが理由じゃない。

 今さら過去のメッセージを読んで傷つくのは無駄だ。

 ドロシーの衣装を取り戻すのが先決なんだから、本人に直接ラインした方が早い。

 スマホを手に取る。

 人差し指が反発し合う磁力みたいに画面に触れる直前で止まった。


「何てメッセージ送ればいいんだよ」


 スマホをビーズクッションの上に放り投げる。

 代わりにリモコンを取ってテレビを付けようとしたら、洗濯終了音に急かされた。

 日常の忙しない流れに紛れて、軽くメッセージを送信してしまいたい。


「まず干してから」


 籠に積んだ洗濯物を抱えてベランダに出た。

 身が縮む冷気だけど、焼き切れそうな焦燥も冷やされた。

 柔軟剤が香るバスタオルを干して伸ばしていたら、物干し竿の向こうにオリオン座が見えた。


 

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