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1+はんぶんこ✕2  作者: 春野わか
107/199

LEO 3

「モツ刺し、凄いですね」


 朝っぱらから想像したくないメニューだ。

 それに男性を紹介してもらうなんて。今の俺が一番耳に入れたくない話。


「あ、そっか! 食べ物。姫先生は低血圧? なんとなーく元気なく見えるのは血が足りてないからなんじゃ。レバニラ食べてくださいよ。ニンニクたっぷり入れて」


 と、そこで体操の音楽が流れてきた。

 今日の音楽は『りんごちゃんたいそう』だ。

 ばんざいポーズでジャンプしようとしたら──


「姫せんせーい。早く!」


 うわ。漆原先生が手を振って呼んでる。嫌なことしか浮かばない。

 慌てて側まで走っていく。今日も慌ただしい。


「今日は姫先生が前で体操する番ですよ」

「あ、そうでしたっけ」


 何だ。すっかり忘れてた。

 園児たちに良く見えるように台の上に上ってのびのび全身を動かしてお手本を示す。

 もう冬だけど薄く汗が滲んできた。

 保育士って給料安い割に内容ハードだし、保護者からのクレームや小さな子ども相手で精神削られるけど、身体の健康はこうやって保たれてる気がする。


 でも教室に戻るときに、ちょっとだけ目眩がした。

 やっぱり俺には血と肉が足りないのか。

 ストレスからくる症状かもしれないな。

 また玲央のことで頭が占められ始めてるし。

 

「姫せんせい。ヒロキくんが漏らしちゃったって」

「え? ああ」


 ナホちゃんが教えてくれた。

 最近はお昼寝中でも漏らすことはなかったのに。

 ヒロキくんをトイレに連れて行って着替えさせる。

 ヒロキくんは泣いていた。ああ、こっちが泣きたいよ。戻れるなら子どもに戻りたいよ。

 始末を終えて立ち上がろうとすると、また目眩がした。

 今晩はレバニラ炒めに決まりか。

 スーパーじゃなくて商店街の肉屋で新鮮なレバーを買おう。

 レバーは苦手だけど、火を通した豚レバーなら食べられる。


 教室に戻ると漆原先生がすでに、お漏らしの跡を拭いていた。

 

「すみません」


 反射的に頭を下げる。


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