絆創膏 43
だって加奈子って──
彼女じゃなくて元奥さんでも。
宍倉さんがホントにフリーでも。
息子の担任の男の保育士に告白されたらトラウマレベルの衝撃受けるの分かってる。
だから芽を出しかけてる心の花に、水を与えちゃダメなんだ。
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四種類の端切れを購入して、マンションに戻ってからカバーにあててみた。
「よし! うまく隠せそう」
パッチワークみたく幾何学模様になるようにセンスを駆使して端切れを並べてみる。
穴やシミを抜かすように配置したら、ベースとなるくまさんとくるまの使用範囲がかなり減ってしまった。
「仕方ない」とはいうものの、せっかく親子で選んだ生地なんだからちゃんと残しておかないと。
細かくミシンを走らせて、端切れを繋いで大きな生地を作っていく。
けっきょく布団カバーづくりに熱が入ってシモジマに行く気は失せてしまった。
「ふう……」
でもドロシーの衣装のことは一瞬しか頭から離れてくれない。
頭のど真ん中に置かないようにしてるだけ。
シモジマに行っても意味がないのは分かってる。
カラービニールじゃなくて言い訳が欲しいだけ。
それっぽいのが店にあっても、偽札レベルじゃなければ漆原先生にけっきょくバレるんだから。
すっきりした解決策を見いだせないまま迎えた憂鬱な日曜日の夜。
ラインを何となく開いて目と手が止まった。
「え? 何だよ……これ」
見間違いじゃないかと顔を近づける。
ラインの友だちリストに並ぶ小さな丸いアイコンの画像。
何度もタップして拡大画像を表示する。
「あ! 何で……」
ちょっとした未練から気まぐれに動いた指が見つけてしまった。
玲央のラインアイコン。
前は背景が海で横顔がシルエットだったのに。
アイコン画像はオズの魔法使いのドロシーの絵。背景画像はどう見てもドロシーの衣装に変わってた。
どうしよう。親指がスマホ画面の上でさ迷う。
友だち少ないからいずれは気付いただろうけど。
でもよりによって、日曜日の夜に。
まだ問題は未解決で終わってないという現実に向き合いたくなかった。




