絆創膏 41
「だけど! あまりいいことじゃないんだろ? 本当は先生が縫ったらマズいんだろ?」
俺が抱えてる生地に宍倉さんが手を伸ばした。
「ダメです! 俺が縫います」
闘牛士のように生地を遠ざける。宍倉さんに渡すわけにはいかない。
「そこまでしてもらったらマズいって。教えてもらうくらいならいいんだろうけど」
「教える……教えようなんかありませんよ。もう俺が縫うしかありません。宍倉さんはこれ以上何もしないでください」
こんなに気合入れて断るの、人生始まって以来かも。
握りしめた拳を開いたら、手の平が白くなってそうだ。
ワタルくんが口をポカンと開けて俺たちのやり取りを見上げてる。
「いいって。先生、本当にいいんだ。俺が死に物狂いで頑張って縫うから」
「いい加減にしてください! これ以上頑張ったら──」
ウンウン生地を引っ張り合う。ビリッ
「あ!!」
生地が真ん中で裂けた。引きのバランスが崩れて肩甲骨が壁に当たる。
重心が傾いた俺の方に引っ張られ前倒しになる宍倉さん。
頭の脇の壁を大きな手がドンと叩いた。
上を向くと、エロい唇がすぐ近くに。
互いの視線がまっすぐ合って、宍倉さんの瞳の中に自分の心情を見出だして身体が熱くなる。
心臓の音以外消えて、時が止まったように動けない。
「はあ……」
宍倉さんの息は、ずいぶん時間が経ってから吐き出されたように思えた。
「先生……」
接近したまま何か言いかける。
こんな状況でも溜めがセクシーだった。




