絆創膏 40
どうしよう。
「宍倉さん、俺は今日は大したことしてないし、ワタルくんに怪我をさせてしまったのに家にあげて頂いて──」
「何言ってるんだ。ワタルが先生になついてるのをいいことに俺が押し付けた形になって! 怪我をさせたって先生が罪の意識感じてることも全部含めて俺の責任なんだから」
ああ、また。謝罪への謝罪返しで無限ループに。
「パパ! 先生に悪いことしたの?」
ワタルくんが深々と頭を下げる宍倉さんを心配そうに見上げる。
「宍倉さん、キリがないです。どっちも悪いのかもしれません。でも、お茶を頂いたのは事実ですし。俺、その布団カバー……」
「布団カバー?」
宍倉さんの切れ長の目が見開かれる。ワタルくんと並ぶと親子でソックリ。
「俺が布団カバーを縫いますよ」
「え? そこまでしてもらったら益々悪いよ。担任の先生に個人的に何かしてもらうのはNGだろ。お茶どころじゃ足りねえよ」
全くその通りなんだけど。
「俺に任せてください。黙っててもらえれば大丈夫ですから」
「だけど、やってもらう理由がない。わけが分かんねえよ。謝ってる側が何で更に何かしてもらう流れになってるのか」
そうだけど。
これ以上宍倉さんが縫うと生地が地雷を踏んだみたいに穴だらけになってしまうから。とは言えない。
家に上がった時点で仏教的な御縁というやつができてしまったんだ。
プツンと切れてしまうくらい脆いものでも、目にしてしまったらほうってはおけない。
「ともかく! 俺にやらせてください。」
何だろう。腹の底に置かれた鍋の水が沸騰してるような。
この、みなぎる情熱は。




