滲み
不倫の話です、苦手な方は読まないでね、すいません。
最後にみなさんに聞きたいことがあります、良かったら最後までお付き合い下さい。
会いたいのに会えない日が続くと里美は自分を責めた、自分が離婚出来ない、だからずっと一緒に居られないのだと。
それでも、
「会いたい」とLINEを入れれば「俺もだよ」と。
「寂しい」と言えば「俺も寂しいよ」と利矢は返してくれた。
辛い日には、やっぱりもうお別れしよう、そんな思いが胸を過ぎる、でも逢えばまた「やっぱり好き」と思う、里美は完全に利矢に依存して身動きが取れなくなっていた。
良い歳して何やってんだろ…と思う自分も確かにいた。
好きだからだけで生活していける訳では無い、自分にいくら多めの収入があるからと言ってこの家を出て利矢と暮らせば今のような生活は出来ないだろう。
夫は比較的穏やかな性格で、浮気問題を一度起こしたことがあったが嫌いな訳では無かった。子供達も素直で可愛い、いつかこの家でのんびり孫の面倒を見る、そんな未来もあるのだ。
何より利矢がそれを望んでいるのかどうか、
「ずっと一緒にいよう」
と言う言葉はあったが、
「里美の家庭を壊すつもりはないよ」
とも言っていた。
分からないのだ、利矢の気持ちが
分からないのだ、自分の気持ちが。
そんな毎日を送る中、また秋の大型連休が迫った、日程を見ながら、里美が言う。
「来週は…この日に会えないと暫く会えないね」
「うん、じゃあその日絶対会おう」
二人は約束を交わして笑い合う、絶対と言う言葉が里美はとても嬉しかった。
抱きついた時、ふと利矢の首元の小さな赤い痣が気になった、利矢は色が白いのでそれは浮いて見えた、そっと指でなぞる、
「ああ、虫に刺されたんだよ」
里美はそれ以上聞くのをやめた。もし、利矢に若い独身の彼女が出来たならそれは仕方ない、頭では分かっていても手が震えた。
まだもう少し続きます。