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その3 「どうしましょう? このままではタイトルがおかしいですねぇ。ゆうはん、て」 「なんでもいいよぉ、もぉ!」 「姫と、メイド……おのれ、ひめいどぉぉぉッ!」 「いきなり何なのッ?」

 まだまだメイドさんに噛みつく姫様だ。

「ちょっとあんた! さっきから生意気なのよぉ! メイドのくせにーぃ!」

 が、

「あらあらまぁまぁ、姫様は今日も元気いっぱいですのね~ぇ、うふふふ」

 と、突然くるくる回り出す、女性使用人メイド

「踊るなーぁッ!」

 しかも、無駄に優雅な身のこなしだ!

「さ~ぁ、姫様も~ご一緒に~♪」

「やんないしッ!」

 メイドは くるくる まわった!

「姫様は~、もうすぐ~、十五歳~♪」

「それはそうだけどッ! 何故、舞うのッ?」

「るーるるるるる~♪」

「ちょ、ねぇ、聞いて、ねぇってば……、あーッ! もう! なんなのよコイツぅぅぅううッ?」

 ひめの さけびが ひびきわたる!


「さてさて、姫様。いっぱい叫んで抵抗する気も失せましたか?」

「まだだよぉ! まだ終わらないよッ!」

「ちっ、しぶとい小娘が……」

「ええええッ! 舌打ちされたしーッ!」

「で。えーっ……と、姫様、何の話でしたっけ?」

「うおぉぉい! お城から! 出たいんだってば! あたしッ!」

「ああ、そうそう。そうでしたね~、私ってば……、いや~んも~ぉ、うっかりメイドさんなんだからぁ、てへぺろッ♪」

「ちょ…………あんた、それ……、誰得なの……?」

「く……ッ、まさか姫様にドン引かれるとはッ! このワタクシとしたことが、一生の不覚ッ!」

 メイドは かたひざを ついた!

「もういいからーぁ! 話、進まないからーぁッ!」

「くっくっく、だが、傷つき立ち上がるほど私は強くなっていく……、そう、それが清掃民族メイド人よ……」

「もぉヤダぁ、なにこの茶番……、疲れるよぉ~……」

 やった!

 姫は超クタクタだ!

 と、

 ――ガチャリ、

「失礼いたしま~す」

 扉が開き、

「ああ! ひめさまッ! お久しぶりでございます!」

 ひとりの少年が現れた。

「げ……ッ! 黒ぶちメガネ……ッ! あんた、いつ帰って来たのよ?」

「はい! さきほど、帰国いたしました! ひめさまの生誕祭に間に合うようにと、急いだのであります!」

 背丈は姫と同じくらい小柄だが、元気いっぱいに答えたその少年。姫に呼ばれる通り、黒縁眼鏡を掛けている。そしてなにやら不思議な杖を手にしていた。眼鏡と同じく、黒い杖だった。

「ややっ、あなた様は……っ!」 

 驚愕するメイド。

「幼いころから強大な魔力をその内に秘め若くして大賢者さまの弟子となり過酷な魔法修行の末にみごと魔王討伐隊に抜擢され勇者支援に向かったが魔王軍の猛攻により敢え無く隊は全滅その唯一の生き残りで今では我が国の代表として世界を旅していたはずの……、えーっと、なんつーの、こう……、魔法使いさんではありませんか!」

「長いよッ! 凄そうなわりに最後ふつうじゃんッ!」 

「じゃぁ、メガネ」

「安直ッ! てか、なんでそんなに説明口調ッ? 誰に言ってんの!」

「いえ、なんて言いますか、こう……、私たちを見守る神々? に」

「またぁッ? だから変なもん受信しないでよぉッ!」

 不意に姫から視線をずらし、少年を見て、

「……いかがです? これが、姫様の唯一の特技、『ツッコミ』です。この数ヶ月で私が鍛え上げました」

 やたら得意げなメイドだった。

「おお~!」

 ぱちぱちぱちっと、姫に拍手を送る少年魔道士。

「手を叩くな、黒ぶちッ! てか、あたしのこれ、特技だったのッ? しかも唯一って、どゆことーッ!?」

 それはたぶん、仕組まれたワナだ!

「ではでは。お客様がお見えになったというところで、私はこのへんで~」

 メイドはそう言うと、早々に姫の部屋から退出しかけ、

「だが……、これで終わりではない……、必ずや私は……、姫様の前に……、再び現れることでしょう……ッ!」

「なんでちょっとラスボスっぽいのーぉッ?」

 ゆ~っくり後退り、扉の前で、くるっと振り返る、メイドさん。

「か~な~ら~ず~な~ぁッ!」

「知ってるよ! あんたメイドだしね! お掃除しに来てね! てか、行くならすんなり出てってよぉ!」

 しかし、メイドは、なかなか出て行かなかった……。


 ――ややあって。

「あのメイドさん、面白い人だねぇ。美人なのに」

 と、少年魔道士。

「はぁはぁはぁ、もぉ、あたし、限界。……ばたんきゅ~」

 ひめは ぶったおれた!


 つづく!


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