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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
最終章 我ら、巨大生物特別攻撃隊!
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二十七話 死闘の予感(3)

 スターライトに乗り込んでシステムチェックをする間に、副隊長の搭乗するシューティングスターは格納庫から演習場へと運ばれていった。

 スターライトのエンジンチェックを終えた大貫さんがコックピットにやってきた。


「間宮、気を付けろよ。あの男は手加減する気はないぞ。スターライトに速度も機動力も負けているが、あいつ専用のカスタムだ。何してくるかわからん」


「ええ、気を抜いたら一瞬で終わってしまうでしょうね」


「戦闘データと高橋の意見を聞いて最終調整をするから出来るだけ長い間戦闘を続けてくれ。頼むぞ」


「わかりました」


「よし。……おい、スターライトも滑走路に運べ!」


 牽引車で演習場に運ばれていく。

 息を一つ吐いて集中する。

 オーバードライブモードによる高速機動は集中力を切らせば大事故につながる。


「システムオールグリーン。オーバードライブモードを発進してから20秒後に発動。模擬戦闘を開始します。……それで良いですよね副隊長?」


「ああ、それで行こう」


『Count Down……5.4.3.2.1.0.Start』


 スターライトとシューティングスターは同時に発進した。

 シューティングスターは一気に速度を上げていきなりバレルロールなんてし始めた。


「副隊長、そろそろ20秒です」


「よし、いいぞ。始めよう」


「では……。オーバードライブモード発動!」


 超機動で一気にシューティングスターに近づいて後ろについた。

 あとは撃墜判定を取るだけだが、そう簡単にいくわけもない。

 副隊長は一気に急降下した。

 僕もそれについて行くが何故か追いつけない。可変翼を操作してみるがどうやっても追いつけない。


「くそ、どうなってるんだ?」


 なんとか追いつこうと必死になっていると突然シューティングスターの姿を見失った。

 よく理解ができていない僕はレーダーを見た。

 すると、後ろにシューティングスターがつけている!一体いつ後ろを取られたのかまるでわからなかった。


「くっそ!」


 フルパワーで急上昇をして振り切ろうとするがそれを読んでいたかのようにシューティングスターもついてくる。

 平行移動やランダムマニューバなど色々と試すが全く振り切れない。

 そうしている間に2分は経過してしまい、撃墜判定を取られてしまった。

 たった2分程の模擬戦闘であったにも関わらずものすごい汗をかいていた。


「これが、エースか……」


 僕は本当の意味で高橋副隊長の凄さを思い知った。

 機体性能など全く感じさせない超一級の操縦技術と経験則による読み。僕のような新人が勝てる相手ではない。



 戦闘機から降りると副隊長はすぐに大貫さんの元に向かい、最終調整について話しているようだった。

 僕は格納庫前のベンチに座って汗を拭っていた。


「ま、あの高橋副隊長相手に約2分間よく逃げ切ったよ」


「山内隊員」


 どうやらさっきの模擬戦闘を見ていたようだ。


「たった2分でこんな汗かいたの初めてです。凄いですね」


「全くだ。あんなモンスターマシンに乗せたら敵なしだろうぜ。オーバードライブモードのスターライトの機動について行くなんてまず無理だってのに余裕でついて行くんだ。底知れないよあの人……」


「ええ…….」


「……さて、俺はウィッシュスターの確認をするかな。じゃあな」


 山内隊員はそういうと蓋の空いていないミネラルウォーターのペットボトルをベンチに置いて格納庫に入っていった。

 僕はすぐにペットボトルを手に取ると一気に飲み干した。


「間宮!!」


 副隊長に呼ばれて僕は立ち上がった。


「なんでしょう?」


「お前のおかげで最終調整がうまく出来るだろう」


「そうですか、それならばよかったです」


「よく俺からここまで逃がれた。オーバードライブモード発動中に決められなかった。経験則でなんとか対応したがそれでも撃墜はできなかった。……ここまでとは思っていなかった」


「えっ?」


「もしもの時はお前に任せよう」


「何を言ってるんですか。副隊長がやられるわけないじゃないですか!」


「犠牲を出さずに反町隆史との正面対決を終える事が出来るほど、甘くはない」


 高橋副隊長は真剣な顔で僕を見据えた。


「恐らく、これまでの巨大生物とは格が違う奴らが襲ってくる。4年前が可愛く見えるほどの事態になるだろう。そうなれば俺もどうなるかわからない。もしかしたら、死ぬかも知れん……」


「そんなこと言わないでください!まだそうなるとは……」


「決まってはいない。だが、死を覚悟しなければこの先起こる戦いに勝つ事はできないだろう」


 僕は何も言えなかった。

 高橋副隊長の今まで見たことのない顔と声の迫力の前に言葉を失ってしまったのだ。


「これからその時まで、お前には俺の技術を叩き込む。どれだけ身につけられるかはわからない。だが、一つでも身につけられれば戦闘能力は上がる」


「……一つ聞かせてください。何故僕なんですか?山内隊員の方が技術もあるし経験もあるじゃないですか。なのになんで僕なんですか?」


「お前でなければスターライトは乗りこなせない。お前の中にある細胞。それの影響でお前の身体能力は常人より優れている。普通の人間ではオーバードライブモード時の最大速度で発生するGに耐えられないのだ。オーバードライブモードを完全に操れるお前だからこそ、技術を叩き込むのだ」


 自分にしか出来ないのならば、僕が強くなるしかないのならば、やるしかない。


「……わかりました」


「俺は厳しいぞ。ついてこられるか?」


「意地でもついていきます」


「よく言った。早速始めるぞ!」


 僕と高橋副隊長、マンツーマンの特訓が始まった。

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