二十七話 死闘の予感(2)
基地に帰ってきた僕は反町若菜を巨大生物特別攻撃隊の医療チームに引き渡し、脳の検査をしてもらった。
結果は随分と早く出た。
「どうでしたか?」
医療チームリーダーの大木さんは一枚のCT画像を僕に見せてくれた。脳の断面図の中に小さな黒い物が映っている。
「脳にマイクロチップのようなものが埋め込まれていた。恐らくこれでうまく彼女を操っていたのだろう」
「取り除くことはできますか?」
「非常に難しいができないことはない。ただ、位置が位置だ。もしかしたら障害が出るかもしれないが、まあ何とかやってみよう。今のままでいいことなんてないだろう」
「お願いします」
「ああ、任させてもらおう。君は第三作戦室に戻るといい。なんでも新兵器が輸送されてきたそうだから」
「新兵器?」
兵器が来たのなら第三作戦室に行くより格納庫に行ったほうが早いだろう。僕は急いで向かった。
格納庫には新兵器と思われる戦闘機が整備されていた。
「これが新兵器?」
見た感じはシューティングスターだが、なんだか少し違うように感じる。
シューティングスターの後続機か何かだろうか?
「新兵器というより、スペックアップだな」
「副隊長!」
いつの間にか副隊長が隣に立っていた。
「スペックアップって」
「今までのシューティングスターでは思う通りのマニューバができなくてな。俺専用のカスタムをしてもらっている。かなりピーキーな機体になるだろうから俺以外じゃ乗りこなせないだろう」
「一体どんな改良を?」
「バーミリオンブラスターをスカーレットブラスターに変更して火力上昇、それに合わせてジェネレーターをハイパージェネレーターに変更し、エンジンもスターライトと同型に変更した。あとは装甲を軽量化して、さらに速度が出るようにした。少し操縦ミスをすると自壊するがな」
「成程、ピーキーですね……」
そんなピーキーな機体に搭乗し操れる自信があるとは、流石に日本が誇る天才パイロットは言うことが違う。
「今から試運転だ。どうだ?模擬戦でもしないか?」
「ほ、本気で言ってます?勝てるわけないじゃないですか」
「2分くらいならいいだろう?」
2分くらい……。
「えっまさか……」
「オーバードライブモード使用していいってことだ。それならいいだろう」
あまり気乗りしないが、スペックアップした機体がどういうものかを知るには敵がいるほうがいいのかもしれない。
「……わかりました。いいですよ」
「なら決まりだ!すぐ準備してこい!」
僕はすぐさまヘルメットを取りに第三作戦室へと走った。




