二十六話 疑念の先は……(5)
逆探知で明らかになった場所は未開の地のようであった。
あるのは獣道くらいで登るのはとても大変だろう。
そこで僕たちは歩いて登ることをあきらめてビッグスターからロープを使って一人ずつ降下していくことにした。
幸いにもビッグスターには光学迷彩と自動操縦機能があるので目立つこともなく、空中に浮遊したままにできる。
着陸した僕たちの目の前には小さな小屋が見えた。古そうに見えるが実際はかなり新しいだろう。
「よし突入するぞ」
隊員全員がフォースガンを構えて扉の前に立つ。
隊長が扉に手をかけると、一気に扉を開け放ち小屋の中に一気に突入した。
小屋の中は実験のための機器がずらりと並んでおり、奥には下に続く階段が見えた。
「下のようだな。高橋を先頭に進む。後ろは小林、頼むぞ」
「了解っす」
建物全体に何か仕込まれていてもおかしくはない。慎重にゆっくりと進んでいく。
「地下一階クリア」
先行した副隊長が来いと手招きをする。
地下一階も一階と変わらず大量の器具が置かれているが、部屋はけた違いに広い。
「山内、下に続く階段はあるか?」
「見当たりません」
「何か仕掛けがあるのかもしれませんよ」
「仕掛けか……」
高橋副隊長は少し考えると反町若菜の左ポケットに手を突っ込むと何かを取り出した。
「返せ!」
「さっきからやけにポケットを気にしていたもんで分かってしまった。またドジを踏んだな。これはリモコンか」
「くそっ」
副隊長がリモコンを操作すると部屋のちょうど真ん中の床が開き隠し階段が姿を現した。
「さあ、行こうか」
「ふぅ!流石副隊長!頭が切れる!」
「小林、いくらシリアスだからと言ってそういう安易なテンションで場を和まそうとするのはやめろ」
山内隊員から冷ややかなツッコミをくらった小林隊員は黙って後方を向いた。
階段を下りていくと薄暗い巨大な空間に出た。
空間には培養器や成長剤で満たされたカプセルが大量に設置されていた。
「まるで映画だな……」
「美しいだろう?巨大生物特別攻撃隊の諸君」
遠くの方から聞き覚えのある声が響いた。
「行くぞ」
走って真っすぐ声のするほうへと向かうとそこにはやはりフードを被ったあの男が立っていた。
「反町隆史か?」
「ああ、その通り」
「フードを取れ」
「……どうやら分かったらしいね。いいだろうよく見るといい」
そう言ってフードを取った反町隆史の顔に僕は驚きを隠せなかった。
「よ、吉永参謀と、同じ顔……」
反町隆史はニヤリと不気味に笑った。




