二十四話 闇に蠢く蟲(6)
第二作戦室が戦闘中のギガントセンチピードは血を流しながらも山に巻きついて第二作戦室戦闘隊を睨みつけている。
木々はギガントセンチピードの強烈な毒で枯れ果て、所々レーザー攻撃やミサイル攻撃で森が焼けておりまるで荒野のようになっている。
「酷いことになってますね」
『こりゃ早く倒さないとヤバイな。この辺りの木がなくなっちまうぞ』
『実際に見てわかったかと思いますが、とにかく早く倒さないといけません。この辺り一帯の林業を生業としている方に大打撃を与えてしまいます。これ以上の被害は抑えてください』
若宮隊員はとても冷静に説明した。
たしかにその通りであり、すぐに倒さなければならないということも理解しているが、僕たちも人間だ。感情というものがある。
『わかった。とりあえず若宮、もう何も言わなくていいぞ。よーし、とっととやるぞ』
「「了解!」」
しかし、オーバードライブモードも武器もほとんど使い切っていて倒せるのかという問題だが出来る限りやるしかないだろう。
『第二作戦室戦闘隊、我々も参戦します』
『応援感謝します。敵の毒には注意してください。金属も腐食させてしまうほど強力です』
『了解した』
山内隊員に続いて僕たちは攻撃を加えていく。
バーミリオンブラスター、トライブラスターで攻撃をするがまるで効いている感じはしない。
というか、ギガントセンチピードに見向きもされていないところを見るにまるで相手にされていない。
「これ一度補給しないと無理なんじゃ……」
『ああ、そんな気がしてきたぞ』
『そうだろうと思ったぞ』
「隊長?」
なんとビッグスターが戦闘中にやってきた。
ビッグスターはあくまでも輸送空母艦及び移動作戦室であり戦闘には参加できないと思うのだが、補給を済ませてすぐに出撃しろという事なのかそれとも戦闘に参加するつもりなのだろうか?
『とりあえずお前たちは離れろ。消し炭になるぞ』
『高橋副隊長、そりゃいったいどゆことで?』
回答を返す事なくビッグスターが変形し始めた。
鉄の塊のような巨大な戦艦のような姿からまるで人工衛星から砲門が突き出したような形になった。
「……なんですかあれ」
『あれビッグスターなのか?というか、あんな変形機能あったのか』
何故戦闘隊である僕たちに知らされていないのか甚だ疑問なのだが、目の前のビッグスターに目奪われてそんな事は二の次だと思ってしまう。
『よし、準備完了だ。これよりBG砲を発射する。第二、第三作戦室戦闘隊員は即座に退避せよ!』
なんだかとんでもないものが飛び出しそうだ!僕たちは即座に退避した。
第二作戦室も慌ただしくその場を離れていく。
ギガントセンチピードは離れていく僕たちを見ているだけで動こうとはしない。
『よし退避したな、行くぞ、BG砲発射!』
副隊長がそう宣言すると変形したビッグスターから馬鹿でかいレーザーが照射された!
あまりに強烈なレーザーで一帯が昼のように明るく輝いた。
あまりの眩しさに目を閉じてしまうほどだ。
凄まじい爆発音を耳にして目を開けるとギガントセンチピードは跡形もなく消し飛んでいた。
爆風で先ほどまで燃えていた木々の火は消えていた。
『なんつー威力だ』
『攻撃はできないと思ってたんだが……まさかこんなとんでも兵器隠しているとは思わなかった』
「隊長、あのBG砲っていうのは……」
『ああ、最近配備された新兵器だ。あまりにもデカイレーザー砲で、ビッグスター以外ではまともに扱えないから変形機構を採用して実用できる形に漕ぎ着けた。威力は見た通りだ。当てれさえすれば巨大生物は跡形もなく消え失せる。ま、それだけに使いどころが問われるし、エネルギー消費も尋常じゃないからな。最終手段だ』
「はぁー恐ろしいもの開発したのものですね」
『超兵器を使わなければならない事態になったという本部も判断しているからな。……まあとにかくご苦労だった。ビッグスターに戻ってくれ。帰還するぞ』
『『了解!』』
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基地へ戻る道中、僕はまた考えていた。
いや、考える必要はもうない、答えは出ていた。
僕はこの人達を信じよう。第三作戦室の隊員達は信じよう。僕が怪しまねばならないのは上層部だ。この隊員達は関係ないのだ。
「吹っ切れたような顔してるね?」
隣に座っている泉隊員が僕の顔を覗き込んでそう言った。
「はい。僕はどうやらくだらないことで悩んでいたみたいです」
「そっか、上層部じゃなくて私たちの事を信じてくれるのね」
「はい」
「ありがとう。私たちもそう言ってくれるって信じてたけど……。それじゃあこれからはみんなで一緒に上層部のこと、解き明かそうね」
「はい。そうですね」
「おーい間宮!帰ったら飯行くぞ!何食う?」
大声で小林隊員が仕事終わりの事を聞いてきた。
「普通に居酒屋で飲みがいいです!」
「おっ!いいじゃねぇーか!決まりな!」
「あーなら私も行きますよ!小林隊員!」
「それなら俺も行くわ」
「泉と山内さんも!?金払ってくださいよ?」
「お前が払えよ!言い出しっぺだろ!」
「そんな、酷いっすよ!」
そうしてみんなで笑った。
やっぱり悩む必要はなかったんだと本当にそう思えた。




