二十三話 鋼鉄の亀甲(1)
神山研究所捜索から一週間。上層部からの口止めもないままだ。
隊長、副隊長が神山公三博士の手記の事を隠しているからであろう。
そんな時、第二作戦室から緊急通信が入ってきた。
武田隊員が通信内容を聞き取っている。
「第二作戦室から緊急通信か。……確か巨大生物出現の報を受けて滋賀県に出動中だったな。そこで何かあったのかもしれない」
高橋副隊長が新聞を読みながら言った。
確かにそんな事を聞いた覚えがある。確か亀型巨大生物が琵琶湖に出現したのだったか。
「……わかりました。飯塚隊長!すみませんちょっと来ていただいてもよろしいでしょうか?」
「うん?ああ、わかった」
武田隊員が先ほどの通信内容を隊長に報告しているようだ。
「……わかった。戦闘隊のみんな、集まってくれ!」
隊長の周りに戦闘隊の隊員が全員集まった。
「先程第二作戦室から緊急通信があった。亀型巨大生物が市街に入ろうとしている。だが、第二作戦室は未だにダメージを与えることもできていないらしい」
「なに?そりゃ何かの間違いじゃないんですか?第二作戦室の火力は日本支部一番ですよ?」
山内隊員が驚いた表情で隊長に問う。
山内隊員の言う通り第二作戦室の火力は日本支部一だ。彼らでダメージを与えられないと言うことは他の作戦室でもダメージを与えられないどころか、最悪足止めすらできないということになる。
「確かにそうだ。だが、事実は事実だ。とにかくビッグスターで出動するぞ。一刻を争う緊急事態だ」
「「了解!」」
僕たちは格納庫へと走った。
ビッグスターにスターライト、シューティングスターを格納し、発進した。
移動中に今回の巨大生物の事を若宮隊員が解説してくれた。
「今回出現した亀型巨大生物は写真を見させて頂いたところ、どうやらワニガメという亀だということがわかりました。ゴツゴツと凹凸のある甲羅に噛み付かれたら腕くらいなら食いちぎれるほどの顎を持ちます。見た目はまさに恐竜です。動きは巨大化の影響で遅くなっていると思われますが、その甲羅はまさに最強の盾といってもいいです。攻撃するとすれば足、尻尾、顔ですが、皮膚もかなり硬いでしょう。ダメージを与えるには相当高出力のレーザー砲くらいかもしれません。爆弾でダメージを与えるなら相当な火薬が必要でしょう。なんにしても今までで一番厄介な相手でしょうね」
巨大生物の話を聞いたら倒せるイメージがまるで湧いてこなくなってきた。
不安が募る中、ビッグスターは琵琶湖へと近づいていた。




