二十二話 巨大生物特別攻撃隊、南へ(4)
第一研究室は随分と片付いていた。
普通、巨大生物の襲撃を受けていたら物が落ちて散乱すると思っていたのだが、何も落ちていない。というより、物が殆どない。
「これは……、とにかく資料を集めるぞ」
僕たちはばらけてとにかく少ない資料を集めた。
しかし、どれも巨大生物に関する記述はない。
「……ダメですね。ここは空振りみたいです」
「そのようだな。よし次だ」
副隊長は資料をまとめてファイルにとじると第一研究室を出ていった。
「はい」
副隊長の後について僕たちは片っ端から部屋に入っていった。
事務室や倉庫、何に使っていたのかわからないような部屋、壊れた自動販売機が並ぶ休憩場があったが、特に何もなかった。
「一階はこんなものか……第二研究室のある場所は巨大生物の襲撃で倒壊しているから情報は得られないだろうし、何より危険だ。二階の飯塚隊長と合流しよう」
「了解」
「嶋、武田に連絡しろ」
「あ、はい、了解しました」
「……副隊長、隊長班は今所長室にいるそうです」
「わかった。行くぞ」
「了解」
二階は一階より荒れていた。
各部屋は書類や研究機材が山積みになっている。
「一階と二階でなんでこんなに違うんですかね?」
ふと疑問に思ったのか泉隊員が独り言のように呟いた。
「一人の研究員に一つの研究室が与えられていたからな。その中には整頓のできない研究員がいてもおかしくはないだろう」
通路を進み続けていると所長室が見えてきた。
「副隊長、お疲れ様です」
所長室前には武田隊員がいた。
「ああ、何かあったか?」
「ええ、結構重要な物が」
結構重要な物とは一体なんだろう?
とにかく僕達は所長室に入っていった。
「隊長、何があったのですか?」
「……これを読んでみてくれ」
隊長が副隊長に手渡したのは神山公造の手記であった。




