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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
一章 新人隊員間宮コウキ
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七話 森の暗殺者 (1)

 新人隊員用訓練を無事に終えて、これからは自らで腕を磨くところまで来た。

 僕たち戦闘隊の隊員は射撃練習や飛行訓練を日夜行い、技術の向上を図る。どんな作戦でも確実に遂行できるだけの技術がなければならないからだ。

 もちろん訓練だけしているわけではない。戦闘隊は巨大生物の脅威をいち早く察知するため、常に戦闘機でパトロールを行なっているのだ。

 僕はその日、泉隊員と共に東京近郊のパトロールを行なっていた。訓練したとはいえ、まだまだ新人の僕に戦闘機ウィッシュスターの操縦はさせてもらえなかった。

 僕はウィッシュスターの下部に取り付けられたカメラの映像で地上の様子を確認する。


「どう?間宮隊員、異常はある?」


「今のところ異常はありません」


「了解。それじゃあ次はポイントC7に行くわよ」


「了解!」


 ウィッシュスターは東京を離れ、埼玉に向かった。

 異常があったのは埼玉のパトロールをしていた時だ。秩父の二子山の辺りだ。木々の中で何か動いたように見えた。


「泉隊員、何やら森の中で何か動いたように見えましたが」


「熊とかじゃあないかしら?近頃よくでてるから」


「そうなんでしょうか…」


「…気になるの?なら、サーモスキャンして見ましょう」


「了解、ではサーモスキャンを開始します」


 僕はスイッチを押して、スキャンを始めた。サーモスキャンは巨大生物の発見するために、各戦闘機につけられている。体温が高いものは赤く表示され、温度の低いものは青く表示される。

 サーモスキャンを開始して2分。モニターにサーモスキャンの結果が表示された。そこには、何の反応もなかった。


「うーん、反応なしね。やっぱり熊か何かが通っただけなんじゃない?」


「そうですね」


「さて、パトロールは終わったし、基地に戻りましょ」


「了解……」


 僕はその時、嫌な予感がしていた…。

 

 夜になり、そろそろ勤務時間も終わりにさしかかった頃、作戦室に通信が入った。


「はい、こちら第三作戦室。……はい、わかりました」


「どうした?武田隊員?」


「隊長!埼玉県の二子山付近の森に巨大生物出現したとの連絡が入りました」


 二子山付近のとは僕達がパトロールしたところだ。まさか……。


「泉、間宮両隊員、君たちがパトロールしたところではないか?」


「そんな、でもサーモスキャンには反応がありませんでしたし」


「それはそうでしょう。画像が送られて来ました。見てください」


 若宮隊員はモニターに画像を表示させる。そこは、僕が怪しいと思った場所だった。


「この形状からして、おそらくサソリの巨大生物です」


「サソリ?おいおい待ってくれよ、ここは日本だぞ?サソリなんていないだろう?」


 小林隊員が意見する。

 確かにそうだ。ここは日本。サソリなんていないはずだ。


「サソリを飼っていた人が捨てたのなら、どうでしょう?」


「どういうことですか?」


 僕は若宮隊員に質問する。確かに捨てられて野生化する。それはわかる。しかし、巨大生物になるなんてことがあるのか?


「つまり、捨てられたサソリが突然変異で巨大生物と化した。ということが考えられるということです。とはいえ、未だに巨大生物のことはほとんど解明されていないため、なんともいえないのですが……」


「うーむ……。しかし、こんな所で考えていても仕方がない。戦闘隊は出撃してくれ」


「了解!」


 僕たちは、自分のヘルメットを取ると格納庫に走った。


 現場に着くと、サソリの巨大生物が木々の中からその姿を現していた。光沢のあるその体に月の光を反射させて、不気味に光る。


『皆さん、そのサソリ型巨大生物は害悪巨大生物として処分することが決まりました。よってコードネームがつけられました。コードネームはスコーピオ。以後、この巨大生物はスコーピオと呼称します』


 サソリ型巨大生物スコーピオ…。なんともわかりやすいネーミングだ。


『スコーピオの武器は尾部の先端にある毒針です。まずそれを破壊してください』


『『了解!』』


 僕達が搭乗するウィッシュスター一号機とウィッシュスター二号機で攻撃を仕掛ける。

 スコーピオもこちらに気づいたのか、前腕のハサミを開いた。


『泉隊員、バーミリオンブラスターを用いて攻撃する。左右から代わる代わる攻撃を繰り返す。まずこちらから行く!』


『了解!』


  山内隊員からの無線を受け、散開する。

  ウィッシュスター一号機は左、ウィッシュスター二号機は右から交互に攻撃を行う。

  その間、シューティングスターを操縦する高橋副隊長が足元を的確に攻撃して、動けなくする。

  瞬時に判断してこれだけの連携ができる。とても今の僕にはできない。

  何度も攻撃を繰り返しているうちに、とうとう毒針のある尾部が焼き切れた。スコーピオは苦しそうに体をよじりながらなんとか逃れようとする。

 しかし、副隊長の操縦するシューティングスターがそれを許さない。

 そのまま倒しきれると思ったその時、スコーピオの体色が変わり、突然動かなくなった。

 倒したのか?僕たちは攻撃をやめて、様子をみる。

 その時、無線連絡が入った!若宮隊員からだ。


『急いで攻撃してください!逃げられてしまいます!』


「どういうこと?若宮隊員?」


『あれは死んでいるわけではありません!脱皮です!』


 なんということだ!体の色が変わり、動かなくなったのは脱皮が始まったということだったのか!

 各戦闘機は急いで攻撃を開始する。各機がバーミリオンブラスターを発射する。

 爆煙が上がり、倒したかに見えた。

 しかし、スコーピオはすでに脱皮を終えて、どこかに姿をくらましてしまった…。

次回

スコーピオの脱皮に気付かず逃げられてしまった僕たち巨大生物特別攻撃隊。

再び現れたスコーピオは新たな姿で森の中から出現した!

次回、森の暗殺者 後編


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