二十二話 巨大生物特別攻撃隊、南へ!(1)
先日、増田さんによってもたらされた衝撃の事実に他の隊員の皆さんは混乱していた。
勿論、僕もそうだ。
巨大生物は人間によって作り出された事、巨大生物特有の細胞を作り出したのが日本の有名な細胞学者である神山公造氏であった事、そして、僕にも巨大生物同様の細胞があるという事。
どれもこれも信じたくはない話だった。
僕にはあの話を聞いた後の記憶は無い。
気がついたら基地内の医療機関に搬送されていた。
搬送先で隊長から、しばらくは休養して気持ちの整理をしてほしいことだった。
去り際、ドアを開けて隊長は小声で何かを言っていたがそこまでは聞き取れなかった。
僕はベットの上で考え始めた……
僕の体に巨大生物と同様の細胞がある。それはつまり僕自身が巨大生物となる可能性があるという事に他ならない。
『何故、そんな危険性のある僕を巨大生物特別攻撃隊は受け入れたのだろう?精密検査をしているのだからそんな事はわかるはずなのに……』
僕の頭にそんな疑問が浮かんだが、その答えはすぐにでてきた。
恐らく僕の身体能力や耐久力を見たかったんだろう。
でなければ僕に新型戦闘機スターライトに搭乗しろなんて言わないはず。普通なら副隊長が搭乗すべきだったはずだ。
『だけど……まてよ?何故、僕は巨大生物にならないのだろう?何か条件があるのでは?』
ふとそんな疑問が浮かんだ。
増田さんや隊長の話が本当なら僕は17年もの間、巨大生物と同様の細胞を持っていたにも関わらず巨大生物とならなかった事になる。
僕はごく一般的な人としての生活をおくってきた訳だから普通に生活していれば問題ないという事なのか?
それとも、僕の知らない間に誰かが薬か何かで細胞をコントロールしていたのか?
神山研究所で働いていたという僕の爺さんならそれも可能だ。
でも死んだ後は?
いくらなんでも素人にそれは不可能だろう。
じゃあ、一体何が原因で巨大生物になってしまうんだ?
コンコンと僕の部屋のドアをノックする音が聞こえ、僕は考えるのをやめて「どうぞ」と言い部屋に招き入れた。
ドアを開けて入ってきたのは飯塚隊長だった。
「お疲れ様です、隊長」
「かしこまらなくてもいい。……ちょっと話があってな」
「はあ、何でしょうか?」
「間宮、これから我々第三作戦室の隊員で特別チームを組み、神山研究所後へと向かう事になった。療養しろと言ったが、間宮、君にも来て欲しい」
これは好都合だ。僕の疑問の答えがみつかるかもしれない。
「はい。行きます!」
「よし、ならばすぐに準備しろ!」
「了解!」
僕はハンガーに掛けてあった隊員服にすぐさま着替えて第三作戦室へと走った。




