二十一話 黒き悪魔、再び降臨(4)
デビルクロウと副隊長の対決が再び始まった。
副隊長はデビルクロウの後ろから攻撃のタイミングを伺っている。
一方、デビルクロウは副隊長操るシューティングスターから逃れようと必死だ。
『なかなか姿を消さないな。副隊長に後ろ取られている状況ならすぐに姿を消して逃れればいいんじゃないのか』
山内隊員の言う通り、姿を消して仕舞えば副隊長をまくことはできるし、なんなら後ろを取って優位に立てる。
なぜ、そうしないのだろう?
『何か条件があるんじゃないかしら?』
「条件……ですか?」
『そう。例えばマジックとかで使われるミスディレクションとかさ。何か自分以外のものに注意をそらしてしまって自分の姿を消してるとか』
「でも、あんな巨体をミスディレクションで消えたように見せるのは無理ですよ。そもそも烏にそんなことできるとは思えませんし……」
『例えばよ、例えば!』
『だが、姿を消すにはある条件があるっていうのは考えられなくもないな』
『おっしゃー!解き明かしてやろうぜ!』
突然山内隊員の無線から大声が聞こえてきた。びっくりして一瞬操縦桿を握る手に力が入ってしまった。
『小林、張り切るのはいいんだが、急に大声出さないでくれ。びっくりするだろう!』
『私操縦桿少し傾けちゃったじゃない!』
「本当にびっくりしましたよ!」
『ははは……、申し訳ねぇ』
『お前たち!ちゃんと見張ってるんだろうな?』
副隊長から通信が入った。
僕たちの通信を聞いていたのだろうか?
『も、勿論です!』
『ならいいが、見逃すなよ。今から攻撃する!』
僕たちはデビルクロウの動きに注目した。近くには雲があるだけだ。
雲に入って消えたように見せたのだとすればそれすぐにわかる。
しかし、泉隊員の言う通りなにかの条件があってのことなのだとしたらすぐには分からないかもしれない。
『バーミリオンブラスター発射』
シューティングスターから赤いレーザーが発射された。
さあ!どう動く?
デビルクロウは高度を下げると、瞬間的に姿を消した!
まるでそこにいなかったかのように消え去った。
『どうだ?からくりはわかったか?』
『いえ、俺にはわかりませんでした』
『泉は?』
『私にも消えたようにしか……』
『間宮もか?』
「はい。僕も消えたようにしか……」
『くそっ、どうなっている?』
『……お困りのようね?高橋くん?』
突然見知らぬ女性の声が聞こえてきた。
どうやら基地からの通信のようだが、一体誰だ?
『……お前か、いつ帰ってきたんだ?』
『ついさっきよ。そんなことより、今は烏退治しないとじゃなくて?』
どうやら副隊長の知り合いらしい。
『そうだな。なら奴が消えるからくりがわかるのか?』
『なめないでよね。私、これでもハーバード主席で卒業したのよ?』
『ああ、そうだったな。わかるんだな?ならわかりやすくからくりを解説してくれるんだな?』
『ふふん。ま、この増田明菜様にお任せなさい!』
増田明菜?本当に何者だ!?




