十九話 災厄再び……後日談
飯塚隊長、高橋副隊長の会話です。
「」飯塚隊長
『』高橋副隊長
災厄巨大生物バーサークブル討伐から5日後、隊長室。
『飯塚隊長、お呼びですか?』
隊長室の扉を開けて、高橋副隊長が入室した。
高橋副隊長は隊長机の前で背筋を伸ばした。
「ああ。度々すまないな」
『……間宮の件ですか?』
「いや、今回はそうではない。……いや、厳密には関係ないとも言えないかもしれんな」
『と、言いますと?』
「四年前から行われてきた巨大生物の研究結果が公にはなっていないが、我々のような隊の上部にいる者に結果が発表された。これがその資料だ」
飯塚隊長は机の引き出しから何百枚という枚数の書類の束を取り出した。
一瞥しただけで何枚あるのか数えられるような枚数ではないことだけはわかる。
細かい字で何やら書いてあるが全て英語で読めない。
『……随分と分厚いですね。しかも英語ですか……』
「日本語訳しなければまず読めたものではない。急ぎ、それを訳さなければならない」
『そうですね。これに今まで謎だったものの答えがあるのですからね』
「その通りだ。それに、これも結果が出たそうだ」
飯塚隊長は再び同じ場所から20枚ほどの書類を取り出した。
高橋副隊長はそれを手に取り目を通す。
どうやらこちらも全て英語で書かれているようだ
『以前見つけたあの謎の物体の研究結果ですか』
「そうだ。目を通してみたが、やはり全て英語でな。さっぱりわからなかった」
『では、こちらも訳さなければなりませんね……』
「そうなのだ。すまんが、これを誰にも見られないよう、榊さんの所に持って行ってくれ。私は今から会議なのでな」
『技術開発班の榊さんですか?わかりました』
技術開発班の榊さんは英検1級を持っていらほどで、翻訳するならば彼女に頼むのが一番であろう。
「うむ、ではよろしく頼む」
『…….ああ、そうだ。隊長、バーサークブルの死体処理が間に合っていないそうです。我々が手伝いに行ってよろしいでしょうか?』
「そうか。……わかった許可しよう」
『では、失礼します』
「うむ」
高橋副隊長が出て行くのを飯塚隊長は確認し終えると、机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
その紙には[神山研究所]そして、数枚の写真。
「……貴方なんですか?教えてくだい。神山先生。……死人に聞いても意味などないか……」
飯塚隊長は深いため息をつくと荷物を持って隊長室を後にした。




