十九話 災厄再び……(4)
基地に急いで戻ってきた僕たちは整備士の方々に補給を任せて第三作戦室に戻り作戦を練り直すことにした。
といってもそう長い猶予はない。早く倒す作戦を考えなければバーサークブルが回復してまた暴れたましてしまう。
「よくやった。あの状況ならああするしかなかっただろう。いい判断だった」
「隊長、そんなことより早く作戦を考えなければなりません」
「そうだな。よし、若宮!来てくれ!」
「了解!」
若宮隊員が隊長に呼び出された。早く作戦を立てるためには動物に関する知識が必要だろう。
「さて、それでは早速作戦会議を始めよう」
隊長はモニターに先程僕たちが戦っていた時の映像を映し出した。
「まず、奴の特徴はその驚異の回復力。そしてスターライトのストライクマキシマムドライブですら致命傷を与えられないほどの強固な体だ以前現れたマキシベアが攻撃特化とすればこいつは防御能力に特化した災厄巨大生物と言えるだろうな」
防御特化の災厄巨大生物……。確かにそんな感じがした。マキシベアの時から武装はかなり強化されているので倒せるはずなのだ。
「あの回復力はただ事じゃない。ストライクマキシマムドライブで致命傷を与えられないんじゃあほかの兵器は大したダメージにはならないぜ!なんせすぐ回復しちまうんだからな」
小林隊員のいう通りだ。あの超兵器を食らって致命傷にならないんじゃあほかの兵器は使い物にならない。
「いえ、そうでもないですよ」
ここで若宮隊員が声を発した。
そうでもないとはどういうことなのだろうか?
「いくら傷口の治りが早いとは言っても、体力は回復していません」
「うん?そりゃあつまりどういうことだ?若宮隊員?」
山内隊員が若宮隊員に問う。
「そのままの意味ですよ。傷口の回復はしています。しかし、その回復には自身の体力を使っているんです。つまりダメージは与えられているんです。まあ、半端なくタフなのは確かですけど、攻撃を積み重ねれば自慢の回復力も体力がなくなってしまえば使えなくなるはずですよ」
つまり持久戦に持ち込めということか。
確かにバーサークブルには対空攻撃はない。持久戦は可能だ。
「なるほどな。やってみるか?」
あっさりと副隊長は言った。
「副隊長、そんなあっさりでいいんですか?」
不安に思ったのか泉隊員が確認した。
副隊長がこうあっさりと作戦を決めるのはなかなかないことだから仕方ないだろう。
「下手に悩んで被害を増やすよりはマシだろう?それに、そういうことならば奴を休ませるのはまずいだろう?」
「そ、そうですね」
「よし、すぐにでも出るぞ!準備しろ!」
「り、了解!」
本当にあっさりと作戦が決まってしまった。
僕たちは補給を手伝うため格納庫に向かった。




