十七話 大自然の警告者!(3)
湖から現れた龍は暴れるでもなく、その場で佇んでいる。長い眠りから覚めたからなのか周りを見渡している。
「龍伝説に出てくる龍そのものだ…」
なんと有坂さんが避難せずに僕の隣で龍を見上げていた。
「有坂さん⁉︎なぜ避難していないんですか?危ないですから早く避難して…」
グロォォォォォオ!!!
突然龍が叫びをあげた!あまりに大きな咆哮に思わず耳を塞いだ。そうしなければ鼓膜が突き破られそうだ!
「有坂さん!逃げて!」
「ユウト君!龍に攻撃してはならんぞ!」
「な、なぜです?」
「伝説によれば、この龍。イズナミリュウは大自然の警告者とされている!」
「大自然の警告者?」
「そうだ。伝説によればイズナミリュウがこの湖から現れるということは自然界の危機を知らせに現れたということになるそうだ。つまり今、イズナミリュウが警告を促すほどのなにかが起こっていることになる」
イズナミリュウの警告。大自然の異変とは巨大生物の出現のことなのだろうか?だが、それならば三年前に現れた方が自然だ。ではどういうことなのだ?
『間宮、避難誘導は終わっているか?』
副隊長からの通信が入る。戦闘機のエンジン音が近づいてくる。どうやら攻撃隊が到着したようだ。
「はいもうすぐ終わります」
まだ有坂さんが避難していないので一様そう伝える。
『我々もそちらに到着した。すぐに攻撃を開始する。間宮も避難しておけ!』
「副隊長、攻撃はしないでください!」
『何をいっているんだ⁉︎放っておけば村に被害が出るだろう!』
「この龍は村では大自然の警告者といわれる存在として伝わっています。決して悪い存在ではありません!お願いします。攻撃はしないでください!」
『…わかった。全機攻撃中止』
副隊長は悩んだ末に僕の言葉を聞き入れてくれて攻撃を中止にしてくれた。
まだ龍が被害を出しておらず、湖から動いていないということもあってのことではあるのだろうが…。
龍は戦闘機を見ているが、何もしようとはしていない。ただじっと目で追っているだけだ。
(一体何を考えているのだ?自然界の何を警告しに現れたのだ?)
グロォォォ!グロォォォォォオ!
イズナミリュウは再び咆哮をあげた。何か伝えようとしているように見える。
「イズナミリュウ!自然界で異変が起こっているのだろう?」
僕が問いかけるとイズナミリュウは首を縦に振った。どうやら人の言葉がわかるらしい。僕は質問を続けた。
「その異変とは、最近現れている巨大生物のことなのか?」
イズナミリュウはまたも縦に首を振る。
「巨大生物とは生物が進化した姿なのか?」
僕はずっと気になっていたことをイズナミリュウに問いかけた。するとイズナミリュウはこの質問に首を横に振った。
巨大生物は生物が進化した姿ではない?どういうことなのだ?で突然変異?
結局、巨大生物とはなんなんだ?
イズナミリュウは天空を見上げた。
何をするつもりなのかと見ていると、突然、上空に火球を吐き出した。
何もいない空に火球が飛んでいく。空?空に巨大生物の正体に迫るなにかがあるというのか?
イズナミリュウは火球の行方を見終わると、湖の中へと消えていった。
「イズナミリュウはなにを伝えようとしてくれていたのでしょうか?」
「わからない。けど、さっき吐き出した火球が飛んでいった場所になにかヒントがあるんじゃあないのかな?」
「そうかもしれないですね…」
『間宮、一体さっきの火球はなんだ?』
「副隊長、さっきの火球が飛んでいった方向調べて見ましょう。何か巨大生物に迫る何かがあると思うんです」
『大自然の警告者が我々に教えようとしていることがあるというわけか……。わかった。間宮、お前の休暇が終わり次第に調査するぞ』
「わかりました」
『我々はとりあえず基地に帰還する。お前は村人に事を伝えて安全を確保しろ。いいな』
「了解しました」
イズナミリュウ。大自然の警告者の与えてくれたヒントで巨大生物についてわかることがあるはず。
謎が解き明かされる。僕は不安と同時にワクワクとした感覚にとらわれていた…。
次回予告!
イズナミリュウの火球の着弾地点の調査に乗り出す第三作戦室。そこには巨大生物の正体に迫る重要な手がかりが!
しかし、そこに凛々しい一本角をもつ巨大生物が現れた!
次回、我ら、巨大生物特別攻撃隊!
立ちはだかる王者
カブトムシ型巨大生物キングビートル出現!




