十七話 大自然の警告者!(2)
翌朝、目を覚ますと時刻は5時だった。どうやらいつもと同じ時間に起きてしまったらしい。
外は薄明るく、縁側に出てみると涼しい風が吹き抜けた。夏でも朝早い時間はとても快適だ。
居間に入ると有坂さんが食事の準備をしていてくれた。
「コウキ君おはよう。今作り始めたところなんだ。もうしばらく待ってくれないかい?」
「早いですね有坂さん」
「あいつが逝ってしまってからね…」
有坂さんの奥さんは三年前の巨大生物災害で亡くなったのだ。有坂さんは仕事で被災地から離れた場所にいたから助かったのだという。そういう事もあって僕の巨大生物特別攻撃隊の入隊にも難色を示したのだろう。
それでも最後は入隊を応援してくれた。有坂さんには本当に感謝しかない。
「さあ、できた。食べようか」
僕は席に座り、箸立てから箸を取る。
朝食は白米、味噌汁、目玉焼きという一般的なものだ。
手を合わせ、食事を食べ始めた。
「有坂さん、今日の祭りの準備は手伝わないでいいですか?」
「ああ、いいよいいよ。せっかくの休暇だろう?ゆっくり休みなさい」
「はい。ありがとうございます」
朝食を食べ終わったら村を散歩でもしよう。たまにはこういう日があってもいいだろう。
着替えを済ませて村の散策に出る。普段は都内の風景しか見ていない僕としてはこういう自然豊かな場所をゆったりと歩くということはほとんどない。一通り村を回ると、龍伝説の残る場所であり今回の祭りの舞台でもある伊津波湖に行くことにした。
伊津波湖は周りがきれいに整備されている。その奥には龍を祀る伊津波神社がある。
僕はとりあえず伊津波神社まで行ってみることにした。
伊津波神社は祭りの為の準備がされていた。まだ完全ではないようだが、これから準備するのだろう。
殆ど村を周り終えたので僕は有坂邸に戻ることにした。
有坂邸で時間を潰し17時になった。
あまりにゆっくりとしすぎたからかなんだか休み明けにだらけそうで怖くなる。
祭り会場は既に盛り上がっていた。屋台も所々で開店しており、美味しそうな香りが漂ってきた。
僕は出店で飲み物と唐揚げを買い、食べながら適当に店を見て回る。
射的屋、金魚すくい。懐かしい出店もあるものだなと思いながら見ていると、基地から通信がきた。
「はい、間宮です」
『間宮、今確か伊津波村にいるな?』
「副隊長?はい、確かに伊津波村にいますけど…」
『ならば、早く村人を避難させてくれ。巨大な生体反応が突然伊津波湖から現れた!』
「えっ⁉︎」
『急いでくれよ!頼んだぞ!』
「わ、わかりました!」
僕は通信を着ると、祭り会場の本部に行き、すぐに避難するよう放送した。人々は焦ってパニックになる。僕は祭り関係者に冷静な避難誘導を頼んだ。
避難をさせて間もない頃、湖から長い首に長い尾を持つ四足歩行の爬虫類のような生物が現れた。その姿はまるで龍のように見えた。




