十七話 大自然の警告者!(1)
久しぶりの休暇。僕は知り合いの有坂さんに会いに山間の田舎町、伊津波村に来ていた。
町の中には巨大な湖、伊津波湖があり、その伊津波湖には龍伝説が残っているという人口500人程の小さな村だ。
伊津波町に到着した僕は町の中心部に住む有坂さんの家を訪ねた。都心から車で約6時間。すっかりあたりは暗くなってしまった。
有坂さんの言えは立派な日本家屋で、なんでも築150年であるという。しっかりと管理しているからこそ長い時間、人の住める家として残っているのだろう。
僕は有坂家の格子戸を開けて家中に響くよう叫んだ。
「ごめんください!有坂さん!間宮です!おられませんか?」
しばらく玄関で待っていると家の奥から有坂さんが現れた。
有坂さんは僕の叔父さんにあたる人で年齢は確か43歳。姉である僕の母と8歳差なのであっているはずだ。
「おお、よく来たねコウキ君。さあ上がって」
「では、お邪魔します」
靴を脱ぎ、綺麗に揃えると有坂さんについて客間へと向かった。
客間には丸いちゃぶ台と座布団が中央に置いてあり、外を見ると綺麗に管理された庭が見える。この客間から見える庭はいつ見ても美しいものだ。
客間の端に荷物を置き、中央のちゃぶ台の前に触る。僕の向かい側に有坂さんが座った。
「どうだい?今の職場は」
「大変ですけど、でも、皆さん優しい人ばかりでやり甲斐もあって、入隊して良かったと思ってます」
「そうか。それは良かったなぁ。私は心配だったけどねぇ。君が巨大生物特別攻撃隊に入るって姉から聞いた時は」
「まあ、普通はそうですよ。いつ死ぬかもわからないような危険な仕事なんですから」
なんだか会話が続かなくなる。数分の沈黙の後、有坂さんが口を開く。
「……。ああ、そうだコウキ君。明日の祭りは出るのかい?」
「伊津波龍祭りですか?……そうですねぇ。一様休暇は明後日までなので多分出られると思います。巨大生物が出現したら無理ですけど」
伊津波龍祭り。毎年この時期に開催される伊津波湖の龍を鎮めるために続けられた伝統の祭りらしい。今となっては龍を鎮めたなんて嘘だとして、楽しいどこでもやるような祭りだ。
「そうか。本当に大変なんだな……。とりあえず今日はもう遅い。ここで休んでくれ」
「ありがとうございます」
僕は、風呂と食事を恵んでもらい、早めに就寝したのだった。




