十六話 悪魔の怪鳥(3)
基地を出発した僕たち第三作戦室攻撃隊は茨城県にある百里基地に来ていた。
山内隊員によるとこの基地に後輩がいるとの事だ。名前は園崎というらしい。
「よく参られました。私、第七航空団の斎藤です」
到着した僕たちを斎藤三等空佐が出迎えてくれた。佐官がわざわざ出向いてくれることはそうそう無いはずだが…。巨大生物特別攻撃隊がどれだけエリート集団なのかよくわかる。
「お出迎え感謝します。巨大生物特別攻撃隊第三作戦室副隊長及び攻撃隊隊長の高橋です。本日はこちらの基地から巨大生物の目撃報告と写真が送られて来たことから、詳しく聞く為参りました」
「わかりました。では、こちらに」
僕たちは百里基地内の一室に通された。そこは会議室のように机が円形に並べられていた。
部屋には既に二人の隊員が待っていた。僕たちが入った瞬間に立ち上がり綺麗な敬礼をしてみせた。
僕たちも敬礼を返す。
「では、皆さまお座りいただいて、話はこちらの園崎一等空尉にしてもらいます」
「一等空尉だと?三年の間に二階級も昇進してやがる…。どうやったんだこの野郎…」
山内隊員はボソッと独り言のように呟いた。
ということは山内隊員がいた頃には園崎さんは三等空尉だったのか。確かに昇進のペースが早すぎる気がする。僕自身が自衛隊に詳しくないのでよくわからないのだが…。
「園崎一等空尉。よろしく」
「はっ!……あの巨大カラスを見たのは朝のランニングをしていた時でした。上空に巨大な影が見えてすぐスクランブルとなりましたのでカメラを取り付けて出動しました。こちらの戦闘機の性能でも撮影までならはなんとか可能でありましたのでなんとか撮影したのを送らさせてもらったわけです」
「…成る程。その後巨大生物はどこへ?」
「この基地より西に向かって飛んで行ったのを確認しています」
「そうか。よし、すぐに調査しよう。よし、行くぞ」
「「了解」」
「申し訳ないが、この基地の者にも手伝ってはもらえないでしょうか?」
「わかりました。すぐにでも出動させましょう」
斎藤三等空佐はすぐに了承して園崎一等空尉と共に出動準備に向かうようだ。
その後僕たちも会議室を出て戦闘機で基地の西をくまなく調査することとした。




