十六話 悪魔の怪鳥(2)
一階の食堂から走って第三作戦室のある三階へ。
食後に走るものだから胃の中にあるものが揺れて気持ち悪い。僕はすぐにエレベーターホールに向かってボタンを押した。
エレベーターはすぐに降りて来て、ドアが開いた。僕はすぐにエレベーターの中に乗り込むと、他の隊員達も走りこんで来た。
最後に乗り込んだ副隊長かドアを閉め、三階のボタンを押した。
エレベーターは上昇を始め、ものの数秒で三階についた。
三階に着きさえすれば第三作戦室まではすぐだ。僕は小走りで第三作戦室に入った。
作戦室に入ると、巨大モニターに巨大生物の写真が投影されていた。見た感じはカラスに近い。
「戦闘隊、ただ今到着致しました!」
僕たちは整列して飯塚隊長に敬礼をした。
「ご苦労。昼食中にすまないな。さて、早速巨大生物の情報を若宮隊員の方から教えてもらうとしよう。-…若宮隊員よろしく」
「はい、では今回の巨大生物についててですが、皆さん見てわかったかもしれませんが烏型巨大生物です。報告によると、体長は30m、飛行速度はマッハ1程度であるとのことです。この写真は遭遇した航空自衛隊隊員が撮影したものです」
やはり見た目通りだったのか。しかし体長30mの烏とは、想像すると恐怖を覚える。烏自体も不吉な感じを醸し出しているので、余計嫌な感じだ。
「若宮、この巨大生物は新種になるのか?」
副隊長から質問が入った。たしかにそれは知っておかねばならないだろう。既に発見されている巨大生物であれば、より詳細なデータや弱点がわかるはずだ。
「ええ、本部のデータベースを確認しましたが、烏型巨大生物は確認されていませんので、新種になるかと。そのため、危険度は今のところ確定していませんので、迂闊には手が出せない状況です」
「となると、俺たちのまずやる事は、この烏型巨大生物が害悪巨大生物となるかの判断をする事だな」
「はい。そうなりますね」
「それで?出現場所はどこになるんだ?」
今度は山内隊員が質問する。そういえばまだ聞いていなかった。
「えーと、場所は茨城県の百里基地周辺ですね」
「百里基地…って、俺のいたところじゃん」
「あー!そういえば山内隊員って百里基地の第七航空団にいたんでしたっけ?」
なんと、山内隊員の勤務地だった場所だった。第三作戦室の隊員達の元勤務地なんてほとんど聞いたことがなかったので初めて知った。
「という事は写真を撮ったのはアイツかな?アイツなら写真に収めるくらいなら簡単にやりそうだしな…」
「あの写真を撮った人に心当たりがあるんですか?」
「ああ。俺の一つ下の後輩なんだ。戦闘機の操縦は第七航空団の中でもずば抜けてたな。まあ、それでも俺の方が上なんだけどな」
ちゃっかりと自慢するあたり山内隊員らしい。しかし、山内隊員がずば抜けているとまで言う人はどんな人なのだろうか?
「とりあえず百里基地に行ってアイツに話を聞いてみよう。それが一番早い」
「ふむ。わかった。では戦闘隊は至急百里基地に向かってくれ。連絡はこちらからしておく」
「「了解!」」
僕たち戦闘隊は敬礼をすると、すぐに各々自分のヘルメットを手に取り、格納庫へと走った。




