十六話 悪魔の怪鳥(1)
スターライトの操縦を任されてから二週間。巨大生物との戦いで自分がまだまだ未熟であると思った僕は山内隊員の指導の下、訓練に励んでいた。一刻も早くスターライトの操縦に慣れねばならない。でなければオーバードライブモードを真の意味で使いこなすことはできない。
『間宮、そろそろ昼飯の時間だから終わるぞ』
山内隊員からの通信だ。どうも
「はい、わかりました」
僕は旋回して基地に戻った。
基地内の食堂に向かうと第三作戦室戦闘隊の皆さんが既に昼食をとっていた。
僕はたまたま目についたカレーうどんにした。山内隊員は牛丼にしていた。しかも巨大などんぶりに大盛り。山内隊員はほっそりとした見た目の割に大食らいなのだ。初めて一緒にご飯を食べた時には驚いてしまったが、もうさすがに慣れた。
カレーうどんののった盆を受け取り、第三作戦室の皆さんのいるテーブルに向かった。
「どうも、お疲れさまです」
テーブルに盆を置いて席に着く。目の前には泉隊員が座っている。山内隊員は小林隊員の前に座った。
「お疲れ様〜」
「お疲れ!って、山内さん、相変わらずすげー量っすね」
「うん?これくらい普通だろ?」
「普通じゃないからいってんっすよ…」
僕は感謝を込めて手を合わせいただきますと言い、食べ始めた。
「スターライトの操縦には慣れてきた?」
「少しずつわかっては来ました。でもやっぱり可変翼の使い方が難しいですね」
「そうか〜。やっぱり難しいよね。私も何度か可変翼採用機に乗ったことあるけどまるで扱えなかったし。副隊長くらい練度があれば扱えるかもしれないけどね」
「副隊長ならですか…」
僕は箸を置いて副隊長に意見を求めてみることにした。
「……。副隊長、可変翼の上手く使うアドバイスとかありませんか?」
「可変翼か……」
高橋副隊長も箸を置いて腕を組んだ。僕たちの目線は副隊長の方に集まった。
こういう時、副隊長は的確なアドバイスをくれるはずだ。
「……。そんなものは知らん!」
がくっ!誰もがすごいリアクションをした。小林隊員は椅子から空が落ちそうになっているし、頬杖をついて聞いていた山内隊員は手が滑って頭を机に打っていた。
「し、知らんって!いかにもいいこと言いそうな感じ出しといてそりゃないっすよ!転げ落ちそうになったじゃないですか!」
「俺は可変翼採用機なんぞに乗ったことはないからな」
「そ、そうなんですか…」
高橋副隊長でも知らないことがあるのか…。僕としては結構意外だった。
びーびーびー!
基地内にサイレンが響き渡った。
『第三作戦室隊員!至急作戦室へ戻ってください!巨大生物が出現しました!』
「すぐに戻るぞ!飯が食い終わってないやつは諦めろ!」
なんと、こんな時に巨大生物が出現するとは…。
僕はカレーうどんをかきこむと席を立った…。




