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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
二章 新たな翼
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十五話 猛毒の罠!新たな翼!(4)

バーレンを引きつけ、なおかつ被害を抑えなければならない。作戦の難易度は災厄巨大生物討伐作戦に匹敵している。


今回の作戦は戦闘機の兵器強化の影響で逆に作戦が難しくなってしまっているように感じる。ミサイルの威力も相当上がってしまって使用しづらい。そのために足止めも難しい。やはり完璧になんでもこなせる完全な万能戦闘機などできないか。


いかに難しいかろうとやらねばならない。僕たちはバーレンの胴体に直撃しないようにレーザーを打ち込み行動範囲を制限する。いくら足が使い物にならなくなっても動けない訳ではないからだ。


『毒の中和剤の完成まで本当にもつのか?』


小林隊員が弱気なことを言う。いや、弱気なことなどではない。事実もつかわからないのだ。既に燃料も底をつきかけている。ジェネレーターのエネルギーを使って飛行することも可能だが、それは同時にレーザー兵器の使用不可を意味する。威力を抑えたレーザーしかつかえないこの状況では、それは攻撃不可を意味する。


『まだ燃料はある。燃料が尽きるまでは粘るぞ!』


『しかし副隊長、この燃料ではあと10分も飛んではいられませんよ。第二作戦室に救援を頼みましょう。このままでは……』


『ううむ……』


山内隊員の言う通り、ここは救援を要請するべきだ。攻撃手段がなくなれば、バーレンを町に侵入させかねない。急ぎ決断しなければ手がつけられなくなる。

おそらく副隊長はそのことをよくわかっている筈だ。


『…仕方がない。第二作戦室に…』


『高橋副隊長、みんな。待たせた。中和剤が完成した!』


突然通信機から飯塚隊長の声が聞こえてきた!どうやら中和剤が完成したらしい。


『本当ですか?』


『うむ。出来上がった中和剤は今、第二作戦室の隊員達がそちらに輸送中だ』


『わかりました。では、我々はどうしましょう?既に燃料が尽きかけているのです』


『ならば、燃料がある間に奴の頭を潰すんだ。通常のレーザーでは厳しいだろう。…間宮隊員、オーバードライブモードのストライクマキシマムドライブを使え!あれなら一撃で頭を吹き飛ばせる』


『隊長!それは危険ではありませんか?もし外せば…』


「わかりました!やってみます」


僕は隊長の命令に迷わず答えた。別に新戦闘機に乗れて調子に乗っているわけではない。ただ、自分がやらねばと、そう思った。


『間宮!』


当然副隊長は止まるだろう。そんなことはわかっている。僕はまだ入隊して一年しかたっていない新人だ。そんな僕がこんな重要な役割を担うのは重すぎる。たが…


「どちらにせよ、ここで決めないと町に侵入されます!ここでやらないと!僕たちのいる意味ないじゃないですか!絶対に成功させますから!」


僕は叫んだ。それは僕の思いの全てを込めた叫びだった。


『間宮。……わかったお前に任せよう』


副隊長は少し悩んで、僕に任せてくれた。


「ありがとうございます」


『各機、間宮の援護。バーレンの動きを止めるぞ』


『『了解!』』


『…頼むぞ、間宮』


「はい!」


僕は、操縦桿を力強く握りしめて、ドライブレバーを倒し、オーバードライブモードを発動した。小型の液晶画面に120という数字が出てきて、ジェネレーターの出力が一気に最大まであがる。可変翼が自動で稼働して後ろに下がり、両翼が変形し刃が現れる。キュイーンという高い音が鳴り響く。こうしてスターライトはオーバードライブモードへお変化した。


「オーバードライブモード発動!」


僕はエンジンを一気に点火して高度を上げる。すさまじい速度でスターライトは上空へ舞い上がり、バーレンめがけて急降下する。

バーレンの頭に照準を定めてストライクマキシマムドライブの発射スイッチに手をかける。


「よし……、いくぞ!ストライクマキシマムドライブ、FIREー!」


スイッチを押した瞬間閃光が走り、巨大なレーザーが機首から発射された!


発射してすぐに僕は機首を上げた。スターライトは地面すれすれで上昇し、なんとか墜落は免れた。


「どうでした⁉︎」


『間宮…よくやってくれた。見事に頭だけ吹き飛んだ』


「本当ですか!よ、よかった〜」


『本当によくやった』


副隊長の安堵の声から本当に心配だったのだろうということがうかがえる。


『もう燃料がないな。よし、あとは第二作戦室に任せよう。我々は基地に帰還する。全機、ジェネレーターのエネルギーをエンジンにまわせ』


『『了解!』』




基地に帰った時に、丁度第二作戦室から連絡が入り、バーレンの毒素は完全に中和したとのことだった。

今回の作戦で、強力な兵器だけではダメだとわかり、戦闘機の装備が見直されることとなった。


「しかし間宮、お前よくやったな」


「あの時は無我夢中で」


「いやだとしてもよくやったよ。大したもんだ。これも、俺の教え方がうまいお陰だな〜」


「山内さん、なにしれっと自分の手柄にしようとしてんすか!」


「あら、バレた?まさか小林にバレるとはなー」


「どういうことですか、それー!」


相変わらず賑やかな小林隊員で安心する。僕は再びスターライトの説明書に向かう。今回はたまたま上手くいっただけだ。もっと上手く使いこなさなければ今後の戦いは辛くなる。僕はさらなる努力の必要性を感じた。

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