十五話 猛毒の罠!新たな翼!(3)
ふーっと大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせる。毒袋は体にあるので下手に攻撃できない。かといって僕の技量では足を的確に狙うなんて芸当はできない。となれば顔を狙うしかない。
トライブラスターの威力はバーミリオンブラスターを上回る。貫通して毒袋を傷つけるわけにもいかないので真上から撃ち下ろすことにした。
操縦桿を握る手に力が入る。僕は降下しながら目標に照準を定めた。毒袋を傷つけてはならないというプレッシャーを感じる。先輩隊員の皆さんは常にこんなプレッシャーと戦いながら巨大生物と戦闘を行っているのかと思うと改めてそのすごさを感じた。
「トライブラスター発射!」
青白いレーザーが三本発射され、それが途中で一本の太いレーザーとなった。
レーザーはバーレンの頭部に直撃した。バーレンの頭はえぐれて、着弾点から煙が上がっている。だが、バーレンは少し動きを止めただけで、すぐにまた木々を踏み潰しながら歩き出した。
『おいおい、頭にあんなレーザー食らって少し動きを止めただけかよ!』
『これは、足を攻撃して動かなくした方が良さそうだ。…副隊長』
『ああ、どうやらそうするのが一番いいようだ。小林、山内、足を攻撃しろ。間宮と泉は援護だ』
『『了解!』』
小林隊員の操縦するウィッシュスターと副隊長の操縦するシューティングスターが高度を落としてバーレンの足めがけて飛んでいく。
『間宮くん。ブラスターの威力を抑えて攻撃するわよ。とりあえず牽制できるだけの威力に調整して』
「わかりました」
僕はトライブラスターの威力の調整を始めた。説明書をしっかり読んでいて良かった。まあ、威力調整をこんなにすぐすることになるとは思ってはいなかったが…。
威力調整を終えるとすぐに援護に向かった。副隊長と山内隊員、それと小林隊員は既に三本の足を動かなくしていた。思いっきりミサイルを使っているように見えたが、まあ、胴体に当たりさえしなければいいのか…。
僕と泉隊員は極力胴体に攻撃しないように威力調整をしたブラスターで攻撃をして、注意をこちらに向けさせる。足の近くを飛んでいる二機の戦闘機の事を考えれば足を止めさせるだけのことができれば一番いいのだろうが、そんなことはとてもできそうにない。
バーレンは上空に向かって毒液を噴射するが、僕達の飛んでいる高度まではさすがに届かない。流石に射程が短い。
牽制攻撃を繰り返していると、副隊長から通信が入った。
『足の動きは止めた。さて、あとは倒すだけだが、毒袋がある。下手に威力の高い攻撃をして汚染しては倒しても意味がない。そこで……』
プププと基地からの通信が入る。
『お前たち、ご苦労。今バーレンを倒そうとしているのならそれは中止してくれ。今、奴の毒を完全に中和することのできる薬を開発している。完成までまあしばらくかかる。完成するまでの間、お前達でバーレンの足止めと監視をしてくれ』
『了解しました。…全員聞こえたな』
『『はい!』』
『うむ。では頼むぞ。完成した薬はすぐそちらに届ける』
『…よし、ここからは持久戦だ。気を抜かずにいくぞ!』
『『了解!』』
毒の中和剤完成までどれくらいかかるのかは不明だが、とにかくやれるところまでやるしかなさそうだ。




