十話 飛翔する影(4)
見張り始めて40分。副隊長から通信が入った。
『こちらシューティングスター。現場上空に到着した。間宮、小林隊員。現在の状況は?』
「はい。未だに生体反応に動きはありません。このまま監視を続けますか?」
『ああ。このまま監視を続ける。おそらくだがその巨大生物は夜行性だろう。まだ明るい時間帯だから、すぐにはでてこないはずだ。…基地には連絡したか?』
「はい。小林隊員にしてもらいました」
『了解。ならばとりあえずは基地からの命令が来るまでは監視する』
「了解」
しばらく待機していると基地から通信が入った。
『みんなご苦労。こちらでも、色々と調べていて今回の巨大生物の正体が大方わかった。
半月前にヨーロッパ地方で現れたコウモリ型巨大生物、コードネームはヴァンピーロ。イタリア語で吸血鬼のという意味だ。奴がこの日本に上陸したのは確認していたが、何処に潜んでいるのかがわからなかったのだ。おそらくだが、今その洞窟の中にいる巨大生物はヴァンピーロで間違い無いだろう。既にヨーロッパ諸国では被害者がでている。早急に処分しなければならん。これより作戦を説明する!
まず、地上の二人で奴を引きずり出してくれ。ストライクカートリッジの使用を許可する。確実に引き摺り出せ!でてきたところを高橋副隊長、山内隊員で攻撃、撃破してくれ』
「「了解!」」
僕たちはリトルウェーダーから降りるということ洞窟の入り口前に立つ。
「間宮隊員。生体反応は何処にある?」
確か生体反応はこの位置から200mの位置にあったはずだ。
「えっと、確かここから200mの地点です。…ってここから狙うんですか?」
「ストライクカートリッジで放つリミットストライクは威力は相当なものだからな。洞窟内に入って撃てばこっちも被害を受ける。ここから狙うしかない」
小林隊員はストライクカートリッジをフォースガンに装填し狙いを定める。
「……わかりました!」
僕もストライクカートリッジをフォースガンに装填する。
「いいな!足を開いて思いっきり踏ん張れ!いくぞ!」
「はい!」
「リミットストライク、FIRE!」
トリガーを引くと凄まじいエネルギーが放出された!エネルギーは洞窟内で爆発を起こした。
クュルルルルル!という甲高い音を発しながら洞窟の中から巨大なコウモリ型の巨大生物、ヴァンピーロが現れた!
よく見ると翼に巨大な穴が空いている。リミットストライクがしっかりと命中した証拠だ。
「副隊長!山内隊員!そちらに行きましたよ!」
『了解した。仕留めるぞ』
『よくやった。後はこちらに任せてくれ』
こちらからは空の戦闘は見えないが翼に傷を負っているヴァンピーロが逃げ切れる可能性はほとんどないだろう。
『ヴァンピーロ処分完了。みんなご苦労だった。後は佐伯氏には基地から報告するそうだ。我々はこのまま撤収する』
「了解」
「さて、戻るぞ。間宮、運転よろしく!」
「はい。それにしてもさっきの射撃は流石ですね。狙って撃ったんですか?」
「まあな。大体翼がどの辺りにあるか検討をつけて撃ったんだ。まあ見事に当たったな。ってそんなこたぁいいから早く戻るぞ!もうすぐ日が暮れちまう」
僕たちはリトルウェーダーに乗り込む。集落まで120km。長い道のりを行く。




