十話 飛翔する影(3)
集落の外れから僕と小林隊員は生体センサーを使っての調査を開始した。
ウィッシュスターに格納してきたリトルウェーダーという地上作戦支援及び調査専用車両に乗り込み、例の巨大生物らしき存在が姿を消した方角に向かって走る。
副隊長と山内隊員は空から同様に生体センサーとサーモを使って反対方向を調査している。
何故、地上と空で別れるかというと、地上からの調査で潜伏している場所を探し、空の調査で活動中の巨大生物を見つけ出すだめだ。
もちろん見つけ次第撃退となると思われる。
無害認定を受けることになる巨大生物もいるが、基本は人に危害を加えることのない海の生物にしか無害認定されている巨大生物はいない。
「なあ間宮隊員?反応あるか〜?」
「いえ、小動物の反応しかありませんね」
「あのよう?やっぱりただの見間違いなんじゃないのか?」
「まだ調査開始してから1時間もたってないですから、見間違いだと決めつけるには早いですよ」
やっぱり小林隊員は佐伯さんの言うことを信じていないのだな。
『小林、間宮隊員。どうだ?見つかったか?』
山内隊員からの通信が入った。僕はすぐに通信を繋げた。
「いえ、今のところ全く反応なしです」
『そうか。こちらも反応なしだ。引き続き調査を行なってくれ。小林も少しはやる気だせよ!』
「へいへい」
「わかりました。引き続き調査を続けます」
調査を続けて2時間ほど経ち、流石に僕も佐伯さんの話が勘違いなのではないかと思えてきた。そんな時だった。生体センサーに大きな反応が出た!
「小林隊員!大きな生体反応です」
「なに?マジかよ!」
反応はどうやらこの先の巨大洞窟からのようだ。ここに潜んでいると見ていいだろう。
「小林隊員、基地に連絡を入れてください。僕は副隊長と山内隊員に連絡します」
「おっし、任せとけ」
小林隊員は携行端末で基地に連絡を入れた。
僕は車両についている通信機を手に取り、副隊長と山内隊員に通信を入れた。
「副隊長、山内隊員!生体反応感知。場所は先程の集落から北西に120kmの地点にある巨大洞窟です!」
『了解した。今から急行する。間宮、小林両隊員はしばらくそこで待機してくれ』
「了解!」
僕はホルスターからフォースガンを取り出すとカートリッジを装填した。いつ出てきてもいいように準備はしておく必要はあるだろう。
「しばらくはここで待機ですね」
「そうだな。とりあえずはあの洞窟を監視だ」
「はい」
僕たちは副隊長らの到着まで洞窟を見張ることとした。
既に日は落ちてきている。夜の決戦に備えて準備も怠れない。
すぐそばに巨大生物がいるという凄まじい緊張感を僕は感じていた。




