九話 揺れる大地(3)
モグラ型巨大生物を地上に引きずり出すための作戦準備が着々と進む中、巨大輸送機で地中作戦用戦車、グランスピーダーが輸送されてきた。
グランスピーダーの前方には巨大ドリルが取り付けられている。このドリルで地中に穴を掘り、地中に潜む巨大生物の処分を行う。
可動時間は7時間までで、それ以上はグランスピーダー内の酸素タンクが切れるため活動できないとのことだ。
「すごい…。こんなの特撮でしか見たことないや」
「実際、特撮番組で出てきたものをモデルにして作っているそうだからな」
と声をかけてきたのは第二作戦室戦闘隊の一人である斎藤隊員だった。
「そうなんですか?」
「ああ。ロマンがあるし、何より中は結構快適だ。隊員のことも考えられているし、もちろん武装も完璧さ」
「斎藤隊員はこの戦車に?」
「おう。しっかり地中から追い出してやるからな。倒すのはまかせるぜ!」
斎藤隊員は僕の背中を二度叩いて、グランスピーダー近くに集まっている他の乗組員と作戦の段取りを確認するようだ。
「間宮隊員!作戦の流れを説明するぞ!」
「あっ、はーい!」
僕は山内隊員に呼ばれて、作戦車前に向かった。
「さて、我々の仕事はモグラ型巨大生物の出現予定地で待ち伏せして、地中から出てきたところを一気に叩くことだ。地中から出てきたら各機、全ミサイルを発射。倒せなかった場合はバーミリオンブラスターで追撃をかける。いいな!確実に仕留めるぞ!」
「「了解!」」
「ではこれより巨大生物出現予定地に先回りするぞ」
副隊長から一通りの説明を受けて、僕たちは出現予定地に飛んだ。
出現予定地は現在いるところから南に3キロの地点だ。
ここに臭いや特殊な音波を用いてモグラ型巨大生物を追い込み、逃げ道を塞ぐ。
その後、グランスピーダーの攻撃で無理やり地上に追い出すという手筈だ。
現在既に、モグラの嫌いな臭いを巨大生物の掘ったトンネルの中に設置している。音波はグランスピーダーから発する。
この大規模な作戦の成功の鍵を握るのは間違いなく地中部隊だ。
僕たち、航空機は各々、位置についた。
副隊長が作戦室に合図を送る。下を見ると、地上部隊も既に位置についたようだった。
『総員位置についたな!…よし!これよりモグラ型巨大生物討伐作戦を決行する!』
ついに作戦が決行された!




