九話 揺れる大地 (2)
「おおよく来てくれた。泉、間宮。休暇中だというのにすまないな。早速だが、あれを見てくれ」
僕たちは第三作戦室内の巨大モニターに目を向けた。モニターにはモグラが映っている。どうやら今回の巨大生物はモグラ型の巨大生物のようだ。
「今回は第二作戦室からの緊急要請だ。既に高橋副隊長と山内、小林隊員は現場に飛んでいる。君たちも急いで向かって欲しい!状況は第二作戦室の者に聞いてくれ!…では、出動!!」
「「了解!」」
ウィッシュスター一号機に乗り込んで、基地を飛び立った。
巨大生物は神奈川県山北町の屏風岩山近郊に出現したとのことだ。
モグラ型というだけあって突如地中から現れたのだろう。
「モグラ型の巨大生物って過去に出たことありましたっけ?」
「うーん……。あっ、確か2年前に中国で出現したらしいけど、その時はわたし達は出動せずにロシア基地が対応したんだったかな?すぐに倒したって話だけど」
「そうなんですか…。じゃあ今回現れたのはまた別の個体ってことなんですかね?」
「多分ね。まあ、詳しいことは現場で確かめましょ!」
「そうですね」
現場に着くと既に巨大生物の姿はなく、あったのは巨大な穴だけだった。
着陸して作戦車のに向かった。
「泉と間宮か、急に来てもらって悪かったな」
「高橋副隊長、巨大生物は?」
「逃げられた…。現在この作戦車の生態レーダーでの追跡を行なっているところだ」
第二、第三作戦室の空と陸からの猛攻を受けながらも逃げ切ったとは、それだけの相手ということなのか。第二作戦室が緊急要請をよこしたわけだ。
「鷹木隊長。これからどう戦いますか?このまま放っておけば、神奈川の主要都市に被害が出ます。早急に排除せねばならないでしょう」
「うむ。だが、そうとなるとあのモグラを地中から引きずり出さねばならんな。さてどうするか……」
「若宮隊員に連絡してみますか?若宮隊員なら動物に詳しいですし……」
「そうだな。よし、間宮早速若宮隊員に連絡を」
「はい」
僕は若宮隊員に連絡を入れた。
『モグラを地中からおびき出したいですか……。そうですね。モグラは視力がひどく弱い代わりに聴覚と嗅覚が優れています。それを利用して、モグラの嫌いな匂いをまく。モグラの苦手な音を出すことで誘導可能でしょう。しかし、気をつけてください!モグラはかなり警戒心が強いので簡単には出て来ません』
「成る程。わかりました。ありがとうございます」
「ふむ。匂いとか音波か……。第二作戦室に地中作戦用戦車があったな。それを使えばなんとかなるやもしれん。よーし!山岡!第二作戦室に連絡してグランスピーダー持って来させろ!」
「了解!」
第二作戦室主導の大規模な巨大モグラ退治が始まろうとしていた。




