九話 揺れる大地(1)
今日は入隊して初めての休暇日だ。勿論、巨大生物が出現すれば休暇なんてなくなるのだけれども…。
とはいえ、休暇となると、正直何をすればいいかわからなくなる。何かないかと考えてもみるが、何も浮かばない。大概そんな時は外に出て走ることにしている。
走っていると、落ち着くし、悩みなんかも吹き飛ばせる。気分転換にちょうどいいのだ。
だから、今日の休暇も走ることにした。
トレーニングも兼ねて、入隊前走っていた時より距離を伸ばしてみることにした。半分は既に走り終えたのだが、速度を落とさず軽快に走れている。
いつもトレーニングルームで鍛えているだけあって体力もかなりついているらしい。
もっと距離を伸ばせば良かったかもしれない。
風を切って走っていると意外な人に会った。泉隊員だ。半袖のシャツにジーパンをはいている。
意外と私服はラフなんだなぁ。そういえば泉隊員も休暇だったっけ?
「泉さん?おはようございます」
一様人目につく場所だし、今は私服なので隊員と呼ぶのはまずいだろう。
「あれ?間宮くん?こんなところで会うなんて奇遇ね!何してたの?」
「見ての通り、ランニングですよ。気分転換にちょうどいいんです」
「へー。あそっか。間宮くんって元陸上部で長距離選手だったんだよね?」
「ええ。そんなに速くはなかったんですけどね……。ところで泉さんは何をされていたんですか?」
「ちょっと買い物でもしようかなぁと思って。ほら、あんまり休みないでしょ?だから今のうちに色々買っておかないとね」
「そうなんですか。あぁ。すいません引き止めちゃって」
「ううん。それじゃあね」
「はい。それじゃ……」
その時、ピーピーと作戦室から通信がはいった。
すぐに僕は通信に出た。
「はい!こちら間宮!」
「泉です!」
『おお!二人とも。なんだ?近くにいたのか?』
「ええ、先程たまたま出会いまして…」
『そうか。なら話が早い。休暇中に悪いが、すぐにこちらに来てくれ!巨大生物が出現した!』
「わかりました!すぐに向かいます」
通信を切る。巨大生物出現出現か……。休みが無くなるのは残念ではあるがこれも僕たちの使命。切り替えて仕事をしよう!
「はぁ、仕方がないわね。間宮くんお金ある?」
「はい、一応ありますよけど……」
「ならタクシーで行きましょう。支払いは割り勘ということでどう?」
「いいですよ。それで行きましょう」
僕たちはタクシーを拾い、すぐさま巨大生物特別攻撃隊基地に向かった…。




