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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
最終章 我ら、巨大生物特別攻撃隊!
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三十三話 絶望の中の希望(4)

 格納庫内では機体の発進準備が着々と行われている。

 反町若菜から手渡されたリミッター解除システムをスターライト読み込ませる作業と共に機体の改修が行われいる。長時間オーバードライブモードでの最大稼働を行うことになるため、増槽の設置、ジェネレーター直結兵装の撤去、実弾兵器の装備が行われた。

 計算上、最大稼働時間は増槽を加味しても10分が限界、それ以上はガス欠で墜落することになるため、10分たった場合、強制的にオーバードライブモードを解除して燃料が切れる前に着陸を行う必要がある。

 また、人体にかかるGはリミッター解除により増加し、常時10Gになるという算出結果が出た。対Gスーツを着ていたとしても、常人ではまず耐えられず、気を失うだろう。だが、医療用に開発されていた細胞で身体が常人以上の強度に引き上げられている僕であれば対Gスーツを着れば問題ない。


『間宮、今すぐ来れるか?』


 出撃準備を整えていると、大貫さんが無線を通して声をかけてきた。


「ええ、大丈夫ですけど、どうしたんです?」


『機体の改修でコクピットの操縦システムに変更を加えた。その確認をしてもらいたい』


「わかりました。すぐ行きます」


 対Gスーツを身にまとい、ヘルメットをわきに抱えて待機室から飛び出すと、コクピット内に乗り込む。

 普段見慣れたコクピットから様変わりしており、強烈なGの対策としてシートが変更されており、操縦桿も両手でつかみやすいようにされている。後部の座席はシートが取り払い、空間を広げてジェネレータの増設を行っているようだ。

 シートは全身を包み込むようになっており、通常の航空機にはできない複雑で特異な機動を可能にするこの機体特性に合わせてどこからGが襲ってきても最小限まで負担を減らせるようになっているようだ。


「間宮、どうだ?」


「いい感じです。これならスターライトの機動を十分に生かして戦えそうです」


「よしそれならいい。説明する。今回変更を加えた操縦桿だがな、高速機動時のレバーの重さを軽くできるようにされている。まあこれはオーバードライブで戦闘を行う以上負担は極力減らさなけりゃお前が持たないからな。当然だ。それで、操縦桿上部ボタンの配置が換わっている右側面が機銃、中央が翼下ミサイルの発射用だ。肝心の機体下部特殊弾頭発射装置は操縦桿の後ろ、銃のトリガーのようにになっているだろう?そこのスイッチだ」


 握りこんでスイッチの位置を実際に確かめる。操作感は良好だ。


「わかりました。他の変更点は、オーバードライブモードの強制終了スイッチが増えたことですか?」


「ああ、もともと脱出装置のハンドルレバーだったが、そいつを利用した。脱出装置はシート下部に新設したレバーだ。突貫工事もいいとこだったんでな。ややこしくなった」


「はい。わかりました。気を付けます」


「このまま発進準備にかかるからな。計器のチェックをしてくれ」


「了解。……大貫さん、ありがとうございます」


「……死なずに帰ってこい。いいな」


 大貫さんは鋭く強い視線を僕に送ると機体から離れて、整備員にまた指示を出し始める。

 計器のチェックをしながら戦い方を考える。牽制や陽動はアメリカ本部の航空隊に担ってもらうことになっているし、地上からも攻撃をしてもらえる。

 僕が奴に特殊弾頭を撃ち込むことに専念できる状態にはなっている。問題はあの見えない攻撃をどのように回避するかだ。攻撃の正体は微細な骨を指の筋肉で飛ばしていることが回収したスターライトの残骸を調査することで発覚した。レーダーや熱探知にも引っかからないし、防ぐ手立ても用意できなかった狙いを定めさせないように動きを止めないことが対策になるかもしれない。

 武装の翼下ミサイルはスパイクミサイルの改良型。奴相手でも十分効果があると算出されたので採用されたものだ。機銃はあくまでも防御火器であり、攻撃には使用できない。弾も60発と少ない。デッドウエイトを極力減らし、最低限の攻撃力しか持たせられなかった以上これは仕方ない。

 この武器でなんとか攻撃をさばいて接近するしかない。あとは僕の操縦技術と臆さず攻め込める勇気があるか。


「チェック終わったか?」


 大貫さんの大声が響き渡る。


「はい。オールグリーンです。いつでも行けますよ」


 ヘルメットを被ってベルトを装着する。大きく深呼吸をして集中する。

 発進してから勝負は約10分。僕は無線で作戦室に連絡を取る。


「発進準備完了。隊長、作戦開始の合図を待ちます」


『よし、各員、準備完了を確認した。これより最終作戦を開始する!スターライト発進!』


「了解!」


[カタパルト準備完了しました。スターライト発進位置へ]


 機械音声が発せられ、スターライトがカタパルトへと移動していく。

 ハッチを閉めて、整備員に敬礼を返す。


[スターライト発進よろしいでしょうか?]


「システムオールグリーン。いつでも発進できます」


[認証確認。スターライト発進します]


 エンジンを点火、出力を上げて発進出力に固定すると、カタパルトが動き大空へ飛び出した。

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