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我ら、巨大生物特別攻撃隊!  作者: ひぐらしゆうき
最終章 我ら、巨大生物特別攻撃隊!
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三十三話 絶望の中の希望(1)

 高橋副隊長搭乗のシューティングスターの墜落、そこから戦況は一気に傾いた。

 頼みの綱であるファイルノートは電力不足と射出装置に損傷がでて使い物にならなくなってしまった。

 BG砲の射出までにも時間がかかる。そんな長時間反町が待ってくれるわけもなく、一気に接近されて撃墜されてしまうことになるだろう。

 巨大生物を初めて倒した男、高橋和正という日本最高のパイロットが戦線離脱したことは精神的にも戦略的にも悪影響を表した。

 僕のウィッシュスター一機では陽動すらままならなかった。

 恐らく奴にとっては高橋副隊長のみが脅威だったのだ。

 高橋和正さえ倒して仕舞えば今映像を見ている世界各地のバイヤーに対してもこれ以上ない宣伝となる。もしかしたら巨大生物特別攻撃隊を壊滅させる事も可能とも考えていたのかもしれない。

 わざわざ大量の巨大生物を投入して戦線を拡大させた所から奴の思惑通りだったのだ。

 このままでは負ける。全隊がそう判断した。

 この判断を下したタイミングで巨大生物特別攻撃隊本部に緊急救援要請を発令。

 救援到着まで自衛隊、日本米軍基地全戦力を持って対応することが決定した。

 戦い続けて何とか海洋巨大生物の掃討、地上のモグラ型巨大生物の討伐を成し遂げたが、反町隆史は決定打を描いた現状では足止めが精一杯であった。

 13時、本部からの救援が到着した頃には多くの犠牲が出ていた。

 日本支部の巨大生物特別攻撃隊員は一度基地に帰還、補給とこれからの作戦を計画することとなった。

 基地の隊員たちは全員疲れ果てており、医療チームは全員総出で治療にあたっている。

 僕は医療棟の一階端の個室に入った。

 そこには全身に包帯を巻いた副隊長が横たわっている。


「高橋副隊長は今現在非常に危険な状態だ。すまないが部屋から出てくれ。間宮」


 室内で立ち尽くしていた僕の背後から大木さんが静かに声をかけた。


「……わかりました。大木さん、副隊長は助かりますよね」


「最善は尽くす。お前は少し身体を休めろ。次の出撃に備えておくんだ」


「はい、すみません。失礼します」


 病室を後にした僕は第三作戦室へ戻った。そこで作戦決定を待つことしかできない。僕は俯いたまま手を見た。

 手には握り込んで爪が食い込んだのか、血が滴っている。

 行き場のない無力感を何かにぶつけたくて仕方がなかった。

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