三十二話 流星の如く……(5)
高橋機の後を追い、反町の攻撃をかいくぐって足にめがけてクリムゾン・レイを放つ。
反町の至近距離で何度も旋回を繰り返し、地上の攻撃に気を配りながら攻撃を加えていくのはかなりの集中力と体力を消耗する。こんな戦いを続けている高橋副隊長の体力と精神力は桁外れであることを感じられた。
現状の実力ではこうしてついていくのでさえ厳しい。しかし、反町の腕の届く範囲であれば視認不可能な遠距離攻撃はしてこない。
反町は特に焦ることなくこちらに剛腕を振ってくるばかりだ。変化した顔からは感情を読み取ることができず、いったい何を考えているのか読み取れない。
『第三攻撃隊、フェイルノート第二射発射準備完了だ。上手く射線に留め、その場を離脱せよ。地上戦闘員はすでに離脱している』
『やけに早かったな。了解だ。間宮、クラスタースパイクを奴足元に落とせ。俺は目を潰す』
「了解!……フェイルノート照準範囲確認」
機体端末に送信されたデータを見て、現在の位置で反町を止めれば射線に乗るのが分かった。すぐさま急降下し、足元めがけてクラスタースパイクを投下して急上昇して離脱した。
同じタイミングで高橋副隊長も離脱している。反町の顔面からはもうもうと煙が上がっている。
『射線上より全機離脱を確認!フェイルノート発射!!』
バチっとスパークを起こしたと思ったらその途端光が巨大な弓から放たれ反町に直撃した。直撃から一つ遅れて凄まじい轟音と風圧に襲われた。第一射のダメージを見て威力を上げたようだ。地面のえぐれかたが尋常ではない。
『間宮、機体制御はできるか?』
「飛ばせはしますが、一部電子機器がやられてます」
電磁砲の影響を大きく受けてしまった。レーダーと電子照準が当てにならない。
『攻撃は厳しいか?』
「電子照準が死んでますが、至近距離で攻撃するので問題ないかと」
『よし、ならすぐに追撃だ。今ので終わるとは思えん』
「完璧に直撃したはずです。瀕死くらいには……」
『あいつには余裕があった。これも宣伝の一つだと考えればあえて受けたと考えるべきだ。さっさと行くぞ。再生されたら手に負えなくなる』
「了解」
ロールして再び反町に攻撃を加えようと接近していく。反町は数キロ先まで吹き飛ばされてはいるが以前直立している。
『フェイルノート直撃部にめがけて攻撃開始!』
クリムゾン・レイを発射しようとするが、スイッチを押しても撃てない。どうやら発射にかかわる装置のどこかに不具合が生じているようだ。ミサイルも試してみたが発射できなかった。
「副隊長、武器が使えません」
『何?……仕方ない。離脱しろ。俺一人で行く』
副隊長は速度を上げて僕は引き離されていく。
シューティングスターはクリムゾン・レイを胴体部に発射しながら近づいていく。
僕は離れた位置に離脱してトラブルの対処を行う。とにかく武器を使えるようにしなければ何にもならない。しかし、操縦をしながらのとレブル対処は時間がかる。
そうこうしている間に高橋副隊長の機体はかなり近づいていた。
その時だ。突然悪寒が僕を襲った。
沈黙していた反町が動いたのだ。それも、先ほどまでとは比べ物にならないほど素早かった。
瞬時に腕を肩と並行の位置に挙げて指先がシューティングスターに向いた。
[この時を待っていたよ。高橋和正!]
指先から何かが飛んでシューティングスターの機体上部が吹き飛んだ!
[君ならこう来ると思ていた。勝負を焦ったなぁ]
「ふ……副隊長ォー!!」
爆発炎上した機体は流星の如く地面へと落ちていった。




