三十二話 流星の如く……(2)
巨大な爪の高速攻撃を回避し続けて攻撃を繰り返す反町を相手に何とか戦えていた副隊長が少しずつ押されているように見えた。僕もできる限りの援護をしているがまったく気にしていない様子であった。
ビームではだめだ。反町の上空に移動してクラスタースパイクを投下した。
爆炎が上がり反町の攻撃を一時的に止めることに成功した。
その隙を逃さずシューティングスターのスーパー3が直撃。大爆発とともに赤黒い血が飛び散る。
しかし、反町は不敵な笑みを浮かべて黒煙の中から姿を現した。警戒して距離を取り、様子を見ていると次の瞬間、機体後部から爆発音が聞こえアラートが鳴り響いた。何が何だかわからない中、脱出装置のレバーを動かすが、全く反応しない。
パニックになりそうになりながらも何とかしようとスイッチやレバーを操作していると隊長からの無線が入った。
『間宮、脱出しろ!』
「装置が作動しません!」
『何とか飛行可能か?』
「まだ何とか」
『ならば西に飛んで道路に着陸しろ。今確認できる限り翼下エンジンは生きている』
「了解」
隊長と会話をしたことで少し落ち着いた僕は、損傷個所を確認した。どうやらメインエンジンとサブエンジン1つがやられているようだ。残った1つのサブエンジンだけでは揚力が生み出せない。翼下エンジンを使って何とか飛行できるが、燃料が少ないうえにいつ燃料に引火して爆発してもおかしくない状態だ。
慎重にかつ急いで戦線を離脱した。
何とか、比較的安全そうなところまで離れると着陸して急いで機体から離れた。
空を見るとシューティングスターは健在であった。副隊長はどうやら攻撃を受けなかったようだ。
しかし、僕はいったいどんな攻撃を受けたのだろう。感覚では突然攻撃を受けたように感じた。死角からの攻撃だとしても何か予備動作があるはずだから攻撃されたということには気が付くはずだ。実際には攻撃の気配すらなかった。いったいこれはどういうことなのだろう?
『間宮!』
上を見上げるとビッグスターがこちらに向かって降下していた。
『すぐに乗り込め!』
「はい!」
ビッグスターの後部ハッチが開いてそこから救助用のウインチが伸びてきた。紐を体にくくりつけてしっかり両手でつかむと巻き上げてもらった。幸い風がなかったので大きく揺られることもなく安全に機内まで入ることができた。
すぐにロープをほどいて梯子を上って作戦室に入った。
「すみません。助かりました」
「無事で何よりだ。すぐに戦場に戻るぞ」
「隊長。僕は何に被弾したんでしょうか?」
「正直言ってこちらでもわからない。突然スターライトから煙が上がったのだ」
目視できない攻撃ということなのか?それとも人の目に見えない兵器を使ったのだろうか。
「副隊長は大丈夫なんですか?目に見えなければ回避のしようが」
「そうだな。先ほどの映像を解析に回す。このビッグスターの設備より基地の方が早いだろう。若宮隊員頼んだ」
「了解。送っておきます」
「間宮、君は操縦を頼む」
「了解」
操縦席に向かい、操縦かんを握った。戦闘機とは操縦方法が違うが、訓練はしているため飛ばす分には問題がない。
上昇して、すぐさま戦闘空域に戻った。




