八話 音速の翼(3)
「これは、ハヤブサの巨大生物のようですね。頭部の羽衣が黒く、頬に黒い髭状の斑紋が入っているのが見てとれましたのでおそらくそうでしょう。ハヤブサのスピードは鳥の中でもトップクラスで、390km出たという記録もあるくらいです。それに、ハヤブサは猛禽類。肉食です。このまま放っておけば、多くの生物が捕食されて、絶滅してしまうでしょう。コードネームはグリフォンとしておきましょう」
僕たちが入手した写真やデータを見て、若宮隊員は言った。これは早急に作戦を立てて撃退しなければならないだろう。だが、僕たちはあの速度を見てしまっている。とても倒せる気がしない。
戦闘隊の誰も口を開かない。やはり皆、どうすればいいかわからないのだ。性能で負けている分、技術でと思っても、もっとも技術のある高橋副隊長がかわされてしまったのだ。
どうにか動きを止めねばならない。だが、どうすればいいのだ?相手は超音速。止める事でさえ至難の技なのに…。
「若宮隊員、何か弱点のようなものはないのか?」
高橋副隊長が口を開いた。
「弱点ですか…。それが特にないのです…。目の良さは人間の数倍ですけど…」
「…………それだ!」
僕の頭に作戦が思い浮かんだ。
上手くいくとは限らないが、この方法なら動きを止められるかもしれない。
「何か思いついたのか?間宮隊員?」
「はい。上手くいくかわからないですけど…」
「それでもいい。聞かせてくれ!」
「……閃光弾です。閃光弾を巨大生物を囲むように発射するんです」
「確かに突然強力な光をあびせれば一瞬動きを止められるかもしれん。だが、奴は速いぞ?どうやって奴の周囲に閃光弾をまくつもりだ?」
「肉です。あれだけの巨体となると、かなりの量の食糧をとらなければならないはずです。大きな肉の塊があれば、そこに向かって来るはずです」
「成る程!確かにそうかもな!」
「若宮隊員、どうだ?可能だと思うか?」
「おそらく可能でしょう。間宮隊員の作戦でやってみましょう。もし閃光弾が効かなかった時のために、肉には体を麻痺させる薬を含ませておきましょう」
「よーし。早速準備にかかるぞ!」
「「了解!」」
こうして僕が提案した害悪巨大生物グリフォン討伐作戦が決行されることとなった!




