三十話 最強対最凶(1)
間宮機、山内機と分かれ、蛾型巨大生物を一匹ずつ処理していく。思った通りスカーレッドブラスターの一撃で撃ち落とすことができる。この調子なら蛾どもを殲滅した後にクマ型巨大生物との戦いに参戦できそうだ。
しかし気になる。何故このような雑魚を仕向けてきたのだ?
『やあ、高橋和正。わかるかな?』
蛾の巨大生物を打ち倒していると無線傍受を受けた。武田にアンチジャマ―のアップデートやプロテクトをかけてもらったはずだが、一体どういうことだ?気にしても仕方がない。俺は
「反町隆史か。わざわざ無線傍受なんぞしてきて何の用だ?」
『君にはショーの演者をしてもらう。世界中のバイヤーが視聴するからしっかりやってもらうよ。世界最強のパイロットである君と私の最高傑作との戦いだよ』
成程、俺の性格を読んで、蛾をだしにしてここまでおびき寄せたという訳か。相も変わらず用意周到な男だ。
「……いいだろう。乗ってやる」
俺の答えを聞いて反町は無線を切断した。俺はすぐさま基地に連絡をしようとしたがまったく繋がらない。どうやら反町は切断したわけではなく、通信自体をできないように細工したらしい。
装備はほとんど使っていない。奴の最高傑作がどの程度かは知らないが、今のシューティングスターの装備であれば一対一でも負ける気はしない。俺は酸素マスクを着けて音速域での高速戦闘を行う準備をする。
「さあ、来い!」
俺は速度を上げてのマニューバをこんな高度でしか、しかもビルが乱立している市街地でやったことは初めてだが、この機体なら可能だ。
戦闘準備を整えていると突如、巨大モニターに反町の姿が映し出された。どうやら始めるらしい。
『それでは、始めよう。さあ、全世界の者共!私の作り出した細胞の力を見るがいい!』
コンクリートジャングルの中から巨大なトカゲが顔を出した。最高傑作というだけあって体長は300m以上あり、その鱗は先ほど倒した奴とは比べ物にならないほど堅牢なものに見える。口から覗くキバはそんなものでもかみ砕いてしまいそうだ。
『さあ、戦ってもらおうか。高橋和正。我が最高傑作0-1とな!』
「いわれるまでもないな」
俺は急旋回をし、0-1に向かっていった。




