一話 巨大生物出現!
僕は人々の暮らしを脅かす凶悪な怪獣を倒すヒーローにずっと憧れを抱いていた。ずっとなりたいと思っていた。なれると思っていた。だから、小さい頃は一生懸命体を鍛えた。
だが、そんなものは空想上の存在だと、現在高校生の僕は至極現実的な思想となった。どんな人間でも、いつまでもピュアな少年の心は保てないものなのだ。
怪獣やヒーローなんていないのだ。常識的にそうなのだ。そうだったはずなのだ。
その日は突然やって来たのだった。高校三年の夏、7月8日のことだ。そのニュースは世界に衝撃を与えた。
日本の東京湾から謎の巨大生物出現!東京都内に避難勧告。
僕たち家族は、すぐに支度をして地方に住む爺さんの家に避難した。まだ道は混んでいなかったため、すぐに東京から出ることができたのは運が良かったと思う。
その日の昼、ニュースを見て唖然とした。
巨大生物東京に進行。東京壊滅状態。避難間に合わず。と言うテロップとともに、ヘリコプターから撮影された映像が流れている。そこにはまさに、子供の頃観ていた、特撮番組と同じ風景が広がっていた。
ビルは倒れ、民家は紙のようにぐちゃぐちゃに潰されて、火災が発生している。
その日から、僕達の住む世界が空想上の世界に変わったのだ。
数日後、巨大生物は自衛隊と、米軍により殲滅された。勿論、多くの犠牲を伴ってのことだ。
世界各国はこれからもこのような事態が起こることを見越して、新たに巨大生物特別攻撃隊を発足した。
三年後…
あの日から三年、日本ではないものの、世界各地で巨大生物は出現し続けている。日本にいつ現れても不思議ではない。
僕は、昔のピュアだった頃の夢を叶えたくなったのだ。巨大生物から人々の命を守るヒーローに。
僕は東京湾の上に浮かぶ巨大生物特別攻撃隊日本支部基地に来ていた。僕以外にも数人の屈強な男達がいる。皆目的は同じだろう。
中から中年の男が出てきた。おそらくこの日本支部基地の隊長さんであろう。
「諸君。ようこそ巨大生物特別攻撃隊日本支部基地へ。日本支部基地、特別攻撃隊隊長の飯塚だ。これから君達には、この基地内で筆記試験、体力試験、面接試験を受けてもらう。どれも非常に厳しいものだ。覚悟して望むように。では、諸君。健闘を祈る」
試験官の青年が基地から出てきて、試験会場まで案内すると言っている。
僕は基地に向かって大きく一歩踏み出した。
次回予告
巨大生物特別攻撃隊入隊試験。とてつもなく厳しい試験のようだ。それでも、僕は絶対に入隊するんだ。絶対に
次回、過酷!入隊試験!