4話「正体」
第二のゲーム、友情まねきねこをなんなく進めていく冬夜と莉奈。
しかし、ゲームクリアはそう簡単には行かず……
『星月莉奈は、風間冬夜のことが好きである』
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どういうことだ……?
俺が?リィに?好かれてる?
……ありえない。✕だろうな。
一方。
やめてよぅ……これじゃどうやってもバレちゃうじゃん……
リィこんな形でバレたくなかったよぅ……
でも嘘ついちゃダメだし……〇にするしかないよね…
『答えが一致しませんでした。第4問クリア失敗です。』
……は?
じゃあ……リィは、俺のことが好き?
……ダメだ。こんなゲームの途中に余計なことは考えるな。とりあえずはゲームクリアが先決だ。
『第5問、2人は両想いである』
……さっきの問題でわかるだろ。これ。
なんで同じことしなきゃいけないんだ。
傷をえぐる気なのか?
まぁいい。
両想いなわけがないよな。
✕だ。
リィはとーくんと両想いの方がいいと思ってるけど……そんなわけないよね。
✕……だよね。
『答えが一致しました。第5問クリアです。』
『よって、第二のゲーム、クリアです。』
『4問一致のため、40万円獲得です。』
途中少し焦ったが、なんとかクリア出来たな。
「やったなリィ!これで第三のゲームに進めるぞ!」
「うん……」
リィは納得いかないような顔をしているのが気になった。
「どうした?」
「あのね?とーくん。」
その表情は、いつものリィとはかけ離れて大人びていた。
「さっきのでわかったと思うけど、リィ、とーくんのこと、好き……だよ。」
いつも溢れる元気で周りが困惑することがあるようなリィに、そんな顔で見られたら……
俺は、断れる訳ないじゃないか。
「俺、あの問題が出てくるまで、リィのことなんとも思ってなかった。でも、あの問題で、リィのことどう思ってるか考えたんだ。」
「うん。」
リィは心配そうにこっちを見ている。
言ってしまったはいいけど、怖かったんだな。
「俺は、リィのことが好きだ。でも、付き合うのは、まだにしないか。ゲームに支障が出てしまう可能性があるからだ。」
俺には、こう答えるしか出来なかった。
「そうだよね!そもそもゲームクリア出来なかったら意味無いもんね!」
リィは安心したのか、いつものあの笑顔に戻っていた。
「これでリィ達の借金は60万円だね!」
「そうだな。この調子で行くと、あと2つくらいゲームをクリアしたら終われそうだな。」
嘘だ。俺は第一のゲームで〇にしたから、80万円だ。
でも、でも、これで良かったんだ。
これで、良かったんだ……。
「それじゃあ、他のふたりが戻ってくるのを待つか。」
「そうだね!えへへ……」
そんなに嬉しかったか。
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「お、ドアが開いたっすよ。真っ暗っすね……」
「そうですね〜とりあえず中に入りましょうか〜」
この女、なんでこんなにのんきでいるんだ。
アイツらと違って幼馴染じゃないんだから、俺らの方がクリア難しいってことが分かんねぇのか。
「どうしたんですかそんな不機嫌な顔をして〜もしかして、どうしてこんなにのんきでいるんだ。とか思っちゃってます〜?私これでもちゃんと色々考えてますよ〜。」
なんで俺の考えてること分かるんだこいつ…恐ろしい
「あ、まねきねこがありますね〜」
「えーっと、頭の上に手を乗せろ……って書いてあるっすね。」
「じゃあ、言われた通りにやってみますか〜。」
疑わないのか?どうなるのか分からないのに。
「だってそうしないとまず何も始まらなそうですし、そうするしかないじゃないですか〜。」
いやだからなんで心が読めるんだよ……
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『第3問、クリアです』
1問一致しなかったが、
なんとかここまで来れた……
『第4問、誰かが裏切っている。』
……あら、ずいぶんと物知りなんですね〜、運営さんは。
私たちをこうやって弄んでも変わったりしませんよ?
ねぇ?和也くん?
でも、事実裏切りがないとは言い切れないのかもしれない……。
あのクイズの時は俺が出題することは無かったから真相はわかんねぇけど、じゃあなんでみんなはあんな簡単な問題を間違えたんだって話だよな。
間違えるしかない理由があった……に決まってるよな。
『答えが一致しました。第4問、クリアです。』
「ところで和也君、どうしてさっきから語尾に〜っす。って付けてないんです?」
「なんすか?急に。」
「いやいや、気づいてなかったならアレですけど、考えてること、ずっと声に出てましたよ」
彼女は笑いながら教えてくれた。
お恥ずかしいにも程がある。
『第5問、2人は、自分たちの間になにか壁があると思っている。』
間違いなく○っすね。あっちの呼び方もちょっと丁寧だし、なにより生徒会長って立場が怖いっす。
私は、和也君ともっと仲良くなりたいですけどね〜。なんだか、一定の距離を置いてるというか〜。
〇にしよう。
距離が縮まった方が、たくさん利用出来そうだし……。
『第5問、クリアです。』
『よって、ゲームクリアとなります。』
「なんとか先に進めそうっすね〜」
「そうですね〜、出来ればもうちょっと手応えあるのが良かったですけどね〜。」
お金がかかってるのに、手応え?この女このゲームを楽しんでんのか?
やっぱりこいつの考えてることは分かりゃしねぇ。
「おっ、待っててくれたんすか!」
「まぁ、置いてく訳にも行かんからな。」
「来れたってことはそっちもゲームクリア出来たんだよね!じゃあ先に進もう!」
そう言ってリィはみんなの先頭を切って歩き出す。
昔お母さんと離れるのが寂しくて泣きじゃくっていたとはとうに思えない。
「ところでこっちのペアは残り60万円っすけど、そっちはどうなんすか?」
「俺達も60万円だ。これなら一緒に終われそうだな。」
心配させないがための嘘だが、言い続けてるとやはり心が痛む。
どうしてお前だけ借金が多いんだ。
と揉め事になるのだけは避けなくては。
「んー。じゃあとりあえず私はお手洗いに行ってきますね〜。」
「おう。」
いやここトイレあったのか。初耳だぞ。
「そういえばあの憎らしいまねきねこが置いてあるとこにトイレあったっすね。」
「まぁ気長に待とうよ!」
「そうだな。このまま張り詰めてても心が参っちまうしな。」
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「なんだかこのチームはすんなりクリアしててつまらないわね。」
「そうね。普通ならここらでもう友情は崩壊しててもおかしくないのだけれど。」
「ねぇ、何かいい案ない?」
「いい案?」
「そう。アイツらを困らせるいい案。」
あー…そういうこと。
お姉さんはやっぱり性根の曲がった人だ。
「それなら私にいい案がありますよ〜。」
「げっ。」
「なんですかその反応は〜。私は社会不適合者のあなた達を管理人に雇ってあげたこのゲームの成立者なんですよ〜?もうちょっと手厚い歓迎をしてくれたっていいじゃないですか〜。」
クソ。だから恩はあってもこの女は嫌いなんだ。
「それより、席を外しても大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ〜。あの人達バカですから〜。」
「そうですか…で、いい案とは……?」
「えっとですね〜……」
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「そうですか、分かりました。では、そうなるよう手配します。」
「失敗しないよう、ちゃんとお願いしますね〜。」
「分かりました。では次のゲームからもお気をつけ下さい、」
「「丹生谷奏様。」」
「言われなくても、ちゃんとやりますよ〜。」
お久しぶりです。シズマです。
気ままに書いているので今回も遅くなりました。
今後も書きたい時に書いていきますので、何卒宜しくお願いします。
感想やレビュー等も書いていただけるとモチベーションが上がるので、お願いします。