1話 友情ってなんだと思いますか?
「友情って、なんだと思いますか?」
くまのぬいぐるみらしきものが不敵な笑みで聞いている。
「正解はね、こんな紙ペラ1枚と一緒だよ…え?どういうことか分からない?じゃあ、こういう事だよ!!」
ぬいぐるみがハサミを使って紙を粉々に切り裂いていく。木っ端微塵になった紙を踏みつけ、火をつけて燃やしていく…
「ね?わかりやすいでしょ?」
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「ねぇとーくん!」
「なんだリィ、俺になんか用か?」
「もう夏だし、昔みたいに怖い話とかしよーよ~!」
「はぁ、何でそんな子供みたいなこと…」
リィこと、星月莉奈は、俺の幼馴染で、高校生にもなって俺のことをとーくんと呼んでくる。妙に子供じみた体格だから別にくすぐったくは感じない。
「いいじゃんいいじゃ~ん」
「たまにはいいじゃないですか~。1度童心に帰ってみるのもいいと思いますよ私は~。冬夜君の怖い話聞いてみたいな~なんて~うふふ~。」
「丹生谷さんまで!!」
「奏さんもそう思うの?リィと一緒だね!えへへ。」
いかにもうふふ~な感じの丹生谷奏さん。生徒会長なのに絡みやすく話してるとなんだか和むこの感じが、全生徒に受け入れられる要素らしい。もちろん本人は自覚していない。
「なになに~?怖い話~?いいっすねそれ!冬夜クンのビクビクする姿みたいな~。」
「和也…俺からしたらお前の怖い話が聞きてぇよ…」
「あ!とーくんがちょっと乗り気になった!」
西田和也…こうなるからこいつは本当に恐ろしいんだ…このチャラさ…どこで何をしてきたらこんなチャラくなるんだよ…
「じゃあこうしましょう。みんなが一人ひとつ以上怖い話を持ってくれば、和也君が見たい冬夜君のビクビクする姿も、冬夜君の聞きたい和也君の怖い話も、どっちも達成出来るじゃないですか~。」
「リィもそう思う!!じゃあ決まりね!明日とーくんの家集合ね!!」
「ちょっと待っ…」
「さようなら冬夜君」
「とーくんじゃーねー」
「冬夜クンバイバーイ」
はぁ…俺に拒否権は無いのか…これがいつもの事なんだから怖いんだよなぁ…まあ、やるからには特別怖いやつを調べてやるか!
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「怖い話 話すネタ。で検索っと」
ふむふむ…これなんか良さそう…
『マインダーゲーム』
ふむふむ…これ公式サイトなんてあるのか…見てみよ…
『ゲームへの参加を希望しますか』
本格的だな…嘘っぱちの癖に…まぁ希望するでいいか…
『明日の11時頃にお迎えに来ます』
嘘にしても程があるぞ…まぁどうせ来ないからいいや。
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「おっじゃましまーす!」
「お邪魔しますね。」
「おじゃましマース」
なんでこいつら勝手にドア開けれたんだ…
昔何かでリィに合鍵でもあげたっけか…まぁいいや
「じゃあまずとーくんの怖い話からー!!」
「リィ…なんで俺からなんだ」
「え?とーくんのことだからやるからにはって怖いの用意してきたんでしょ?聞かせて聞かせて!」
「よく分かったな…」
「もったいぶってないで早く言えよ〜」
「わかったわかった、じゃあ『マインダーゲーム』って知ってるか」
「なにそれ!リィ知らなーい」
「マインダーゲームってのは…」
『お迎えに参りました』
!?
「お前…ほんとに来たのか…」
『では、ここにいる人全員、連れてっちゃうね〜』
公式サイトで見たクマのぬいぐるみとおなじ見た目…
「ねぇなんでリィ達も連れてかれるの!」
「冬夜クン、俺達も連れてかれんのか」
『そうだよ。キミ達も連れてかれる、このゲームは参加希望者とその周辺の人との友情を調べるゲームだから、キミ達も必要なんだ、てことでレッツワープッ!!』
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「ここどこなの?リィおうち帰りたい…」
「私もわからないです〜。いったいどこなんですかここは〜。」
「ねぇ冬夜クン?ここどこなんだよ!」
「んなこた俺だってわかんねぇよ!!」
「わかんねぇじゃねぇよ!お前が申し込んだんだろ!!」
「まってよとーくん!和也くん!喧嘩したって帰れるわけじゃないんだよ?だからこんなことやめてよ!」
「あぁリィの通りだな。すまん和也。」
「……俺も、悪かった、すまん冬夜…」
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「突然知らないところにそいつのせいで飛ばされるなんて、普通の人からしたら怒れる話よね。」
「まぁ、早速友情が壊れてきてて私達は見てて楽しいわね。」
「そうね、あれだけで怒ってるなんて、『あの話』を聞いたらどうなっちゃうんですかね!」
「でも1つ不可解なところが…」
「え、どのへんがですか?」
「いや、今教えたら詰まらんだろう。いつか教えるさ、それまで自分で考えな」
「えー。ケチだなぁ…」
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『あーそうだ言い忘れてたけど。』
『君たち、別にここから逃げ出してもいいんだよ。ただ、君たちは100万の借金をしてるから、それはなかなか難しいかもね。』
「おいクソ熊!100万ってなんだよ!」
『言ってなかったっけ?このゲームに参加すると一人につき100万の借金が出来るって』
「なぁ冬夜…お前だよな、これに希望したの、何勝手に人に100万の借金作ってんだよてめぇ!!」
「やめてよって言ってるじゃん!もう起きちゃったことなんだから!」
「莉奈ちゃんはなんでいつも冬夜の味方ばかりするんだ?あぁ?」
あぁ、壊れてる壊れてる。もう少し、もう少し壊れてくれないかなぁ。そしたら私の望みも…うふふふ。
ちょっと前の小説がネタ切れなので(早い)これからはこっちを書いてこうと思います!