獣耳っ娘は異世界では必須だろ?
投稿遅れて申し訳ないです。
-龍の森-
昨日の夜の内に、龍の森で熊狩りしてレベル上げをすることにした統哉とあかねは、朝早くから龍の森へ向かって歩いていた。
「はい! 到着!」
「そんじゃまぁ、俺の探索スキルで探しますかぁ」
「うん、お願いするよ、統哉君」
あかねは、平静を装っているが、実際は、初めての共同作業だと舞い上がっている。集中力が足りない状態である。いくら熊と勇者でも余所見してたら怪我しますよ。
「おっ、いたいた、ここから真っ直ぐ進むと熊三匹かたまってるとこがあるぞ」
「レベル上げちゃうよー!」
「テンション高いな、あかね」
「え? あ、そうかな?」
「ああ、やっぱりレベルが上がるのは嬉しいよな! もっと強い奴と戦えるしな!」
「うん! うん?... そ、そうだよね!」
好きな人の性格に合わせようと努力するあかねの姿は、まさに恋する乙女なのだが、統哉は気付くことさえ
しないのだった。頑張れあかね! 統哉に振り向いてもらう為に!
と、そうこうしてる間に熊の密集地に到着したのだが... 人がいますね、ええ、犬耳と犬尻尾があるお姉さんがいますね。しかも熊と仲良さそうに会話? していた。あかねが話しかけるか迷っていると統哉が声をかけた。
「そこの獣耳の人! その熊、狩るからどいてくんないかな?」
「え? 私!? って人間の方がいる! 気付かなかった! ああ! ごめんなさい! この森の熊さん達は私の友達だから、出来れば熊さん以外の生き物を···」
「え? そうだったのか? 悪い! 俺、前に結構な数狩ってるんだけど、許してくれ!」
「え!? もしかして、あの大量殺熊は君の仕業!?」
「多分、な、本当に悪かった!!」
「この熊さんの両親も殺されてるんだよ!」
そう言って、生後一年の人間の赤ちゃんくらいの大きさの熊を見せてきた。
「俺、動物の家族とか考えて無かった、これからはよく考える。それに、その熊の親を殺したのが俺だとしたら、その子を育てる責任は俺にある、だから、その子を引き取らせて欲しい」
「え? それは、君の事、まだ信用出来ないし...」
「なら、一緒にくるか?」
「え?」
「嫌なら無理にとは言わないが」
「行く! あなたの事、見定めるまで一緒にいる」
「わかった、それじゃ、改めてレベル上げるか、そう言えば名前は?」
「あ、言わなかったね、私の名前はパトリシア、よろしくね」
「ああ、よろしく」
「はっ! えぇ! いいの!? 統哉君! よく考えないで知らない人と行動しても」
話の目まぐるしい進み方に意識が飛んでいたあかねは、やっと復帰して、叫んだ。
「いいんだよ、こいつは悪い奴じゃない」
「? 根拠は?」
「勘だ、仲間にした方が良さそうだったし」
「って...はぁ、わかったよ、統哉君がそう言うなら」
「悪いなあかね」
「話は終わった?」
「ああ、じゃあ、行くか」
「うん」
「っと、そう言えば何は狩っていいの?」
「ああ、それはね、ドラゴンだよ」
「ドラゴンねぇ、ってドラゴンかよ!!」
「え? ドラゴンってあのドラゴン?」
「どのドラゴンか知らないけど、ここのドラゴンって言ったら、龍の森の主、«緑龍王グリンガレム»しかいないだろ」
その時、あかねは王という言葉を聞いて、戦慄した、王と言うからにはとんでもなく強いんだろうと。そしてその考えは正しかった。
「あ、レベルで言うと七百くらいあるから気をつけてね、私は離れて見てるから」
「お前、レベルは?」
「え? 六十八だけど?」
「じゃあ、参加決定ね。あかねと一緒にレベル上げだな。」
「え? ちょっ、待ってよ! 近づく事も出来ないような奴と本気でやり合う気!?」
「だって俺、レベル七百越えてるし」
「え...」
こうしたやり取りを何度か繰り返したあと、渋々納得したパトリシアであった。
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